ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、未来予想です。皆さんが少しでも未来に希望を持ち、考えるきっかけになればと思います。
成熟した社会に生きるということ
あらためて未来を創造してみよう!!
ちょうど10年前の2015年に「未来への提言」という記事を書きました。その中では、若者の志向が少しずつ変わってきたこと、特に仕事に対して、収入よりもやりがいを重視していること、日本が成長社会から成熟社会に移行していることで、物質的な豊かさではなく、より精神的豊かさを求める人が増えたと書きました。さらにそのような社会に移行することでうまれた、経済的な取引で繋がる人間関係ではなく、相互扶助のような関係性で繋がる「タイムバンク」という、お金に頼らずに時間を単位にした支援制度を紹介しました。そして、記事を書いた2015年の10年後、つまり今年に当たる2025年から2050年までを5年単位で区切り、未来の予想を書きました。
今回はあらためて、その記事の未来予想の部分を、検証も兼ねて2回に分けて紹介したいと思います。未来に悲観的な人も多い中、私は、きっと私たち自身の意識や行動しだいで明るい未来は創り出せると考えています。予想の部分は、「人の意識の変化」を中心に書いています。かなり飛躍した内容と受け取られるかもしれませんが、そういう考え方もあるんだなという程度に、一個人の推論として読んでいただき、皆さんが少しでも未来に希望を持ち、考えるきっかけになればと思います。
今の経済システムの枠組みで考えていたら、せいぜい数年先の部分的な予測しか出来ないでしょう。4半世紀後の予想をするなど「そんなこと経済学者だってムリだろう!」そう思われるのも当然です。確かに難しいと思います。ここで難しい学問を論じるつもりはありません。単純に生き方が変われば社会全体が変わるという、一つの可能性として書きたいと思います。
よりリアルに感じていただくために西暦を入れてあります。少し唐突に感じる部分があるかも知れませんが、ご容赦いただきたいと思います。
現在の経済システムに不具合が起きてきます。それは当然、物が売れなくなり、本当に必要な物だけが流通する社会になっていきます。そして大きな変化がやって来ます。価値観がまったく転換することになります。今まで当たり前であった、物やサービスは買うものであるという考え方、つまり「所有」するものと考えてきたことが、それが「共有」という概念に取って替わり、大企業は大量に安い物を製造することから、より環境に配慮した、細かいニーズに答えられる商品を作るようになります。そして会社の規模も小さくなっていきます。
身近な物から土地に至るまで、すべてを所有することが社会では常識でした。しかしそもそも所有とはなんでしょうか。多くの物を所有することが裕福な象徴であった時代から考えれば信じられないかもしれませんが、例えば自然を所有するということ自体ありえないことですし、もっと身近なことで言えば、年に一回しか使わない物を買う必要があるのだろうか?という疑問が国民のあいだで議論されるようになります。そして、物をシェアするという考え方が浸透していくのです。
やがて企業は投資的な事業よりも、社会に本当に必要な、ムダのない生産性のある事業形態に変わっていきます。つまり無駄な仕事がなくなり、よりシンプルになっていきます。ここで最も大きな変化が起こります。「お金」のあり方自体が変わるのです。お金がお金を生み出すようなシステムが見直され、さらに国民や企業に負債を負わせることで成り立っている資本主義的な競争原理が根本から覆されることになります。最終的に「お金」は単なる交換の道具となり、利子や利息という考え方が消えていきます。
最初は国民のあいだに戸惑いが広がりますが、すぐに価値観の転換が起こり、すべての資源や物やサービスに至るまで、共有財産であるという意識が広がります。そして人々は地域やコミュニティのつながりを重視するようになり、大都市から地方に人口が分散していきます。皆、身近な食べ物を自分たちでより安全に生産するようになり、農業のあり方も大きく変わり、職業というよりも生き方の表現となります。手に入らない物を分け合うという文化が世界的に根付いてきます。
世界中の情報がオープンになり、様々な技術や発明が共有され、生活の質は格段に上がっていきます。本当に必要なところに人と資源が集まり、エネルギー問題が完全に解決します。資源を奪い合う争いや、民族間の貧富の格差が原因となる差別や紛争がなくなり、やがて世界から戦争がなくなります。そう、戦う理由がないからです。
(次号につづく)
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