私たちが普段なんとなく手に取っている素材がつくられた背景や環境、そして美味しさといった視点から、食を選ぶ手がかり「食をえらぶためのkeyword」を集めました。Part2では、調味料や加工品のほか、食品全体にまつわるキーワードについて解説していきます。
食べることを義務感ではなく、楽しみや暮らしの実感として味わっていただけたらうれしく思います。

料理の味わいは食材だけで決まるものではありません。 素材の持ち味を引き出し、料理の輪郭を形づくるのが「調味料」です。日本の調味料には醤油・味噌・酢など発酵を基盤としたものが多く、微生物の働きによってうま味や香りを生み出す食文化が発展しました。こうした発酵調味料の体系は世界的に見ても豊かで、日本の食文化を象徴するもののひとつといえるでしょう。その背景には長い時間の積み重ねがあります。
しかし一口に「醤油」「味噌」といっても、その中身は一様ではありません。伝統的な食品でありながら原料の多くは輸入に頼っており、さらに製造効率を重視した製法も広がっています。原材料の品質や麹の種類、発酵や熟成の方法によって味や香り、加熱したときの変化など、その品質は想像以上に幅があります。
調味料は料理の味を支える基盤の食材です。原料や製造方法の違いを知ることで、普段使っている調味料の背景が見え、選び方や使い方を見直すきっかけにもなるでしょう。

醤油
原料や製造方法などにより、濃口醤油・淡口醤油・たまり醤油・再仕込み醤油・白醤油に分けられる。「本醸造」は大豆・小麦・塩を主原料とした醤油の伝統的な製造方法で、「混合醸造」は醤油の諸味にアミノ酸液を加えたもの。醤油の出荷量は1984年をピークに減少傾向(約5割減)にある一方で、だし醤油やめんつゆなどの醤油加工品は増加。
味噌
米麹でつくる「米味噌」、麹を使った「麦味噌」、豆麹を使った「豆味噌」、2種類以上の味噌をブレンドした「調合味噌」に分類される。熟成の際、自然の温度で醸造する「天然醸造」と、人工的に加温して醸造期間を短縮する「速醸法」がある。


酢
穀物や果実などを原料とし、酢酸発酵によってつくられる醸造酢が一般的。日本の代表的な「米酢」は米を原料とする。米のみを原料とした場合は「純米酢」で、静置発酵で数ヶ月から数年かけて製造される。アルコールを加えてつくるものは「米酢」と表示される。アルコールを添加することで酢酸菌の働きを促進し、短期間(2〜3日程度)で発酵が完了する。
塩
原料により海水塩・岩塩・湖塩に大別される。製法では、「精製塩」(原塩を溶解し、工業的製法で塩化ナトリウム純度を99.5%以上に高めた塩)、「再生加工塩」(天日塩を海水やにがりで溶かし、再度煮詰めて結晶化させた塩)、「自然塩」(海水や岩塩を天日干しや釜炊きなどで結晶化させた塩)などに分けられる。世界中でサンプリングされた塩ブランドの90%以上からマイクロプラスチックが検出された研究結果も出ている。


砂糖
砂糖は、製造過程で結晶と糖蜜を分ける「分みつ糖」(上白糖・三温糖・グラニュー糖など)と、結晶と糖蜜を分けない「含みつ糖」(黒・和三盆など)に分けられる。健康志向と低甘味嗜好・安価な代替甘味料の増加により、砂糖の消費は減少傾向。沖縄では、原料のサトウキビは地域経済を支える重要な基幹作物となっている。
油脂
原料や製造工程によって含まれる成分や栄養価が大きく異なり、油脂の健康性や機能性に注目されて選ばれることが多い。油分を取り出す「抽出」や、不純物を取り除く「精製」工程では化学的な処理が行われる場合もあるため、成分表示だけでなく、原料の質や抽出方法にも注目したい。食用油で広く使われるパーム油は、需要増に伴う大規模な農園開発により、世界で最も森林破壊を引き起こしている農産物の一つとされている。

食品加工の技術成長により、私たちは様々な食材をいつでも便利に手に入れられるようになりました。 メーカーが、美味しさや見栄え・安定的な製造を目指して積み重ねてきた成果ともいえるでしょう。結果、製造現場は専門性を高めて、原料の選定や加工工程はより高度で細分化されたものになっていきました。
一方で、このような変化は、消費者の暮らしとのあいだに距離を生む側面もあります。私たちの身の回りには、日常では扱うことのない原料や技術を用いてつくられた加工食品が多く並んでいます。食品の原料や製造方法には、家庭の調理ではあまり目にすることのない素材や技術が用いられることも多く、どのような仕組みで食品が製造されているのかを具体的に想像することが難しくなってきています。
加工食品に使われる食品添加物の基本的な役割や分類、食品全体にまつわるキーワードを整理しながら、身近な食品がどのような仕組みでつくられているのかを見ていきます。

保存料
の増殖を抑え、食品の腐敗・変敗を防いで保存性を高める役割を持つ。代表的な保存料はソルビン酸や安息香酸ナトリウムなど。加工食品や飲料など幅広い食品に使用されている。他の食品添加物との複合的な摂取により、発がん性が指摘されるものも。
人工甘味料
砂糖よりも低カロリーで少量でも甘味が強いため、摂取カロリーの節減や、摂取後の血糖値の上昇を抑える効果が期待される。一方で、習慣的な摂取は味の感じ方や糖の代謝機能に影響すると考えられている。代表的なものにアスパルテーム・アセスルファムカリウム・スクラロースなどがある。


合成着色料
着色を目的として菓子や飲料、漬物などの色調を鮮やかにするために使用される。安全性やアレルギーへの懸念から、近年では天然色素へ切り替える動きも活発になっている。食肉・鮮魚介類・野菜類に着色料を使用することは禁止されている。
遺伝子組換え
生物から特定の形質をもつ遺伝子を取り出し、細胞外で別の生物の細胞核内の染色体に導入する技術。日本に輸入されるとうもろこし・大豆・ナタネ(採油用)・綿実(採油用)の8割程度が遺伝子組換え品種であると推測されている。こうした作物は飼料や加工原料として広く利用されている。


ビスフェノールA
ポリカーボネート製プラスチック容器や缶詰のコーティングなど、一部の食品用容器の原料として使用されている化学物質。体内に取り込まれた場合、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)として働くことが確認されており、健康への影響が懸念されている。「BPAフリー」は、ビスフェノールAが使用されていない製品という意味。
機能性表示食品
事業者の責任において科学的根拠に基づき、疾病に罹患していない人を対象に、「おなかの調子を整える」「脂肪を減らす」「睡眠の質を高める」などの機能性を商品パッケージに表示するものとして、消費者庁に届け出された食品。「医薬品」とは異なり、病気の治療や予防を目的としたものではない。


フードロス
まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品のこと。日本では年間約464万トン(2023年度推計)の食品が廃棄されている。家庭系食品ロス(食べ残し・直接廃棄など)と、事業系食品ロス(売れ残り・返品・飲食店での食べ残しなど)の割合は、現在おおむね半々とされる。
フェアトレード
開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組み。持続可能な取引を重視し、国際的な基準を満たした製品には認証ラベルが付与される。


フードマイレージ
食料の輸送量と輸送距離を掛け合わせて算出する指標。日本のフードマイレージは概算約9千億tkm(2020年)※と、世界でも高い水準にある。人口が多く、食料自給率が低いため、結果として大量の食料を遠方から輸入していることを示している。
※日本のフードマイレージ 出典元:「フードマイレージ資料室」https://food-mileage.jp/
バーチャルウォーター
農作物や工業製品を輸入する国が、それらを自国で生産すると仮定した場合に必要となる水の量を推定した概念。例えば、1kgのトウモロコシを生産するには1,800L、牛肉は2万600Lの灌漑用水が必要。食料輸入は、その生産に必要な水資源を輸出国から間接的に利用しているともいえる。

食品パッケージには原材料などの食品情報が記載されていますが、ルールが複雑で分かりにくいものも。その一部を解説します。
遺伝子組換え表示
消費者庁の遺伝子組換え表示制度に基づき、大豆・とうもろこし・ばれいしょ・なたね・綿実・アルファルファ・てん菜・パパイヤ・からし菜及び、それらを主な原材料(重量に占める割合の高い原材料の上位三位以内かつ、原材料および添加物の総重量の5%以上)とする加工食品は、遺伝子組換え作物の使用の有無を表示で確認することができます。ただし、醤油や植物油など加工の過程でDNAやたんぱく質が分解されて検出できない食品は、任意表示となります。
〈 表示例〉
●「遺伝子組換え」=遺伝子組換え作物が使用されている
●「遺伝子組換え不分別」=分別していない(混在の可能性有)
●「分別生産流通管理済み」=分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以内に抑えている
●「遺伝子組換えでない 」「非遺伝子組換え」〈任意表示〉=分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる
省略できる食品添加物
加工助剤(加工の際に使用されるが、完成前に除去されるもの)やキャリーオーバー(原材料の加工の際に使用された添加物が微量持ち越されるもの)に該当する食品添加物については、表示を省略ることができます。
省略できる食品添加物
加工助剤(加工の際に使用されるが、完成前に除去されるもの)やキャリーオーバー(原材料の加工の際に使用された添加物が微量持ち越されるもの)に該当する食品添加物については、表示を省略ることができます。
簡略名・一括名で表示できる食品添加物
●一般に知られている名称を持つ食品添加物については、物質名の代わりに簡略名や類別名で表示が可能です。
〈例〉L-アスコルビン酸ナトリウム→ビタミンC
●以下に該当する食品添加物については、物質名ではなく一括名で表示が可能です。
[ イーストフード・ガムベース・かんすい・苦味料・酵素・光沢剤・香料・酸味料・チューインガム軟化剤・調味料・豆腐用凝固剤・乳化剤・pH調整剤・膨張剤]
〈例〉「クエン酸」→「酸味料」/「レシチン」→「乳化剤」
Part3では、自分軸で食材をえらぶために大切にしたいこと、ナチュラル・ハーモニースタッフの「食材の買いかたマイ・ルール」をご紹介します。
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