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代表のつぶやき

自然栽培のレジェンドと僕 その2「300年の歴史の豊かな畑」

2018.08.15

茨城県の自然栽培生産者の田神さんは「自然栽培のレジェンド」とも呼ばれるほど、美味しくて素晴らしい作物を育てている生産者です。

その1では、田神さんとのドキドキの最初の出会いについて書きました。
★自然栽培のレジェンドと僕 その1「田神アニキとの出会い」
https://naturalharmony.co.jp/tsubuyaki20/

今回は、田神さんの初めての自然栽培作物とその畑の豊かさについてお伝えします。

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自然栽培に取り組まれて20年以上、茨城県玉造の田神アニキが最初に取り組んだ野菜は在来種の白イボきゅうり。

そしてその生育はというと、意外にもスムーズにことは運び、田神さん自身も肥料なくとも野菜は育つんだなーとにんまり顔。虫や病気の被害もそれほどでもないし・・・。

事前に、自然栽培に取り組むにあたり、それなりに苦労する話をしていたので、ちょっと拍子抜けの感もありましたが、それはそれで良しとしていよいよ自然栽培による白イボきゅうりの初出荷の日がやってきたのです。

入荷した時は、男泣きしたことを思い出します。創業時から取り扱っていた自然栽培の野菜たちは研修先の農家さんから届く根もの系の野菜が主体で、葉物や果菜類は夢の産物でした。創業して数年、自然栽培農家さんを開発したくてもできない日々が続いていたものですから、私自身が口説き落として自然栽培に取り組んでもらった初めての生産者からのはじめてのきゅうりがやってきたわけですから、その感動はひとしおでした。

 

ここで注意しなければいけないことがあります。

「えっ自然栽培ってはじめからそんなに簡単にできるものなの?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、時と場合にもよりますが、初めの数年間は意外にもできちゃうことがしばしばあるんです。

それは過去に投入した残存肥料がうまい具合に効いているケースです。ただし、その残存肥料がある以上、時として虫や病気を呼び込んでしまい、結局思うような農産物が育たなくなることが通例で、実際田神さんの畑でも、虫食いだらけで出荷できなかったことも一度や二度ではありません。これを見ても自然栽培の極意はいかに過去の残存肥料をなくし、畑を自然の状態に戻しその場で植物が自立できる場を作るかにかかっているのですね。と同時に種も自立型の種に戻していく手段が自家採種というわけです。

植物たちが誰の手も借りずに命を繋げてきた命の仕組みを学び、それを畑に反映させる!

その条件を整えるために畑から人間が施してしまった肥料分を排除し、種からも肥料分を排除するという流れです。

 

そしてもう一つ、田神さんが自然栽培に移行する上で田神さんの畑の歴史も重要な要素です。

田神さんの畑は開墾してから約300年の歴史があり、先達の方々が土を耕し、野菜が根を張れる部分である作土がかなり深くまで出来上がっているのです。これが15cm以下の場合は野菜作りには向かないといわれていますが、実際に田神さんの畑に支柱などの細い棒をさしてみると1mくらいまですっと入ります。この作土層の深さも田神さんの野菜が肥料に頼らずとも健やかに育っていくポイントでもあるのです。

さらに付け加えておかなくてはいけないのが田神さんのお父さんの存在です。田神さんのお父さんは実は関東における「有機栽培の父」と呼ばれた方で、有機栽培ひとすじに畑に向き合ってきました。その際の有機肥料も植物性の肥料を独自でつくりだし、今主流の動物性畜産堆肥はほとんど使わずに土作りをされてきたそうです。結果、化学肥料や動物の糞尿による窒素分のない畑を引き継いだわけですから、それは田神さんにとってかけがえのない財産だったと思います。

田神さんが初めから比較的スムーズに自然栽培に移行できた理由のひとつは、先達の方々やお父さんが土をあまり汚さず、壊さずにバトンタッチしてくれたことも大きいと思います。ご先祖様に感謝、感謝ですね。

 

このような恵まれた土の条件をベースに、肥料分を土から排除していくことで、田神さんの畑の土は、自然栽培のめざす「あたたかい」「やわらかい」そして「水はけ、水もちのよい」土になって今日の素晴らしい野菜の育つ場になったのです。

 

次回は、その自然栽培のめざす「あたたかい」「やわらかい」そして「水はけ、水もちのよい」土ってどんな土か、田神さんの畑を通じて考えてみたいと思います。

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★自然栽培のレジェンドと僕 その1「田神アニキとの出会い」
https://naturalharmony.co.jp/tsubuyaki20/

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