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ライフジャーナル(大類久隆)

人間の最も根源的な感情を考える

2020.03.20

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、いろいろな感情のもとになる感情…「喜びと不安」について考えてみました。


人間の最も根源的な感情を考える

これほど人生を左右する問題はない。その見えない感情とは?

今回は「人間の根源的な感情を考える」というテーマを掲げましたが、決して難しい心理学の話ではありません。最初から人間に備わっている感情についての話です。この感情が解明されれば、人間の様々な苦悩や生きかたを改善する手助けになると私は思っています。

子犬や子猫の仕草・行動を見ていると誰もが愛らしさを感じますよね。その姿を見て嫌悪感を抱く人はあまりいないと思います。もちろん人間の赤ちゃんや子供にも同じように感じると思いますが、今回は分かりやすく説明するために動物を例に挙げて話を進めてみます。

子犬や子猫が愛らしいと感じるのはなぜでしょう?
もちろん「理屈じゃなく、そう感じるから…」という意見が大半かもしれませんね。でも敢えてひとつ挙げるとすれば「とても素直で可愛いから」という理由もあると思います。「素直さ」という要素は、言い換えれば「感情に素直に従っているから」とも言えるでしょう。では、その「感情」とはどのような感情なのでしょうか。動物の場合は愛玩動物に限らず野生動物にも言えることですが、感情を最も深いところまで掘り下げてシンプルにしていくと「愛情と恐怖」言い換えれば「喜びと不安」に行き着くといいます。

そのたった2つの感情が、すべての感情の基になっていると考えてみます。例えば、子犬が餌をもらったとき「美味しい」ではなく「嬉しい」という感情で表現します。もちろん遊んでもらうときも散歩に行くときも「嬉しい」という感情なのです。このとてもシンプルな表現が、客観的に見て愛らしくて可愛いという反応につながっているのですが、おそらく成犬になるに従って、どちらとも言えない複雑な感情を身につけていくことになります。

実は、これは人間も同じではないかと考えています。「愛情と恐怖」が根源的にあって年齢とともに経験を重ねると、そのどちらにも属さない複雑な感情と向き合うことになります。多くの感情が、「愛情と恐怖」のどちらかから派生していると仮定してみるとどうでしょう?もちろん、どちらとも言えない感情があるのは確かですが、分かりやすく「ポジティブな感情」と「ネガティブな感情」と分けてみるとよいかもしれません。特に今回問題にしたいのは「ネガティブな感情」です。

例えば怒りという感情は、恐怖の裏返しの反応であると見ます。そして、その怒りが歪められたものが、恨みや妬みや嫉妬ではないかと考えます。このように最初は恐怖心から始まった感情が、心理的に複雑化して「ネガティブ」と言われるあらゆる感情を生み出していると私は考えています。

では、恐怖や不安がそもそも備わっているのはなぜなのか?赤ちゃんが最低限備えているのは、大きな音や高い所から落ちることに対する警戒心という話を聞きます。生きるために最低限必要な危険を察知する能力と言えるかもしれません。しかし、成長とともにあらゆる場面や状況に恐怖や不安を感じるようになっていきます。過去の衝撃的な体験がトラウマとなって高所恐怖症や閉所恐怖症という物理的な恐怖心に至ったり、対人関係や仕事上のストレスなど、人間関係がきっかけで恐怖心を持つというケースもあります。

さて、ここからが本題なのですが、大人になるにつれてその恐怖や不安という感情に向き合いたくなくなり、他の感情にすり替えてしまうことがあります。つまり無意識化してしまうということです。例えば、ある人の言動がとても嫌で恐怖を感じるとします。さらにそう感じていることを周囲に知られることにも恐れを感じてしまい、二次的な恐怖心が生まれます。そして、これを回避するために相手を攻撃したり陰口を言うなどして自分を正当化する行動を起こしてしまいます。また、幼少期に親からあらゆる行動に干渉され常に感情的に怒られるという経験があると、自分の意思で考え行動することに不安を感じるようになることがあります。その場合、自分ではそのような欲求や好奇心がないと思い込ませることで回避します。

しかし、恐怖心や不安感を常に無意識化しながら生活していると、習慣的にそれを基に思考を組み立てる癖がついてしまい、夢や希望を諦めてしまったり狭量な生活態度になりがちです。自分には当てはまらないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現代で意外に多い行動形態だと思います。これが続くことにより極端な場合は、心が病んでしまったり自身の欲求を表現出来ずに抑圧し続けることになります。

現代人が感じる不安としては、経済的な不安・社会的地位を失う不安・自分の評価への不安などがありますが、これらはあくまでも表面的、社会的な不安であると言えます。そのもっと根源的なところに「存在することへの恐怖心」という感情が備わっていると考えています。

大切なことは、まず自分の中に根源的な恐怖や不安があることに気が付くこと。そして今自分が、その感情に基づいた考えかたや行動をしているかどうかを見つめることです。これによって心理的に生活が楽になり、大げさではなく人生が変わることになるでしょう。結論として恐怖ではなく喜びを考えかたや行動の基にするということなのです。

『暗闇はなく、無知があるのみ 』

―― ウイリアム・シェイクスピア
「十二夜」より


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


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