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「養蚕体験ワークショップ」に参加しました

2024.07.29

こちらは養蚕ワークショップの参加レポートです。虫の写真が出てきますので苦手な方はご注意ください。

 

 

いつもありがとうございます。スタッフのひかりです!

7月20日に開催した「大人も!子どもも!養蚕体験ワークショップ」に参加してきました。

講師は、養蚕農家として蚕の魅力を発信されている飯村昌(いいむら あき)さん。京都にある織元・塩野屋さんで修行し、その後父親の実家である栃木県真岡市にて薬剤消毒や農薬・肥料に頼らず、そして人工飼料ではなく桑の葉のみを与える方法で蚕を育てていらっしゃいます。

お話がスタートする前に、まず参加者の皆さんは養蚕飼育キットの蓋を開けてみました。

 

 

 

開けると、孵化したばかりのちっちゃな蚕の卵たち。参加者の皆さんは、動いている小さな卵をじっと見つめていらっしゃいました。笑うとどこかへ飛んで行ってしまいそうなくらい小さいです。

前半は、蚕の歴史や特徴などのお話。

絹は自然界で最も人間の皮膚に近い素材といわれているそうです。また、蚕沙という蚕の糞は、鉛筆の芯や色付けに使われていたこともあるそうです。私も匂いを嗅いでみましたが、意外にもほのかに良い香りがしました。

 

 

蚕は、「古事記」や「日本書紀」などの神話、地域に伝わる民話にも登場しているそうで、昔は稲や粟などと共に重要な農作物として捉えられていたことが分かりました。

また、日本列島をひっくり返し、九州を頭、四国を手と見立てると、日本列島の形がなんと蚕に見えるそうです。蚕は空からやってきた(神様から与えられた)という話は本当ではないか?!とロマンを感じられるのも魅力の一つだそうです。言われてみると蚕の形に見えてくるような気がしてきます。

 

 

 

時は流れ、富国強兵政策のもと繭の輸出が盛んになり、昭和の時代には日本産繭の世界シェア率は70%にもなっていたようです。そんな日本の養蚕業ですが、第二次世界大戦や化学繊維の登場、農業人口の減少、高齢化により衰退の一途を辿り、養蚕農家は今や150軒程度になってしまっています。

後半は、蚕の一生についてのお話。
これから蚕たちを育てる参加者の方たちは、わくわくしながら蚕の成長過程を動画で学びました。
蚕は、卵から孵った状態が1令。

 

 

最初からだの色は黒く、よく見ると毛が生えていました。

1令→眠→2令→眠→3令→眠→4令→眠→5令→繭を作る

このように蚕は繭を作るまでに脱皮を繰り返すのですが、こちらは脱皮前の準備期間「眠」という状態です。

 

 

からだを半分起こし、桑の葉も食べず、ぴたっと止まって全然動かない様子が眠っているみたいなので「眠」というそうですが、一斉に「眠」の状態になっている蚕たち、面白いです。

蚕にとっての脱皮は命がけなので、「飼育の時は触らないこと」これが大切のようです。脱皮の様子をよくみると、顔もぽろっと取れ、からだだけでなく顔も脱皮しているところが、また面白いです。飯村さん、顔の脱皮の様子を実演してくださいました。

繭を作り出す前の5令になるとものすごい食欲で、一晩で葉っぱがなくなりこの状態に。「ここまで食べてくれると気持ち良い」と嬉しそうな飯村さんでした。

 

 

 

糸を吐きたい時期になると蚕のからだは透けてきて、桑を食べずに上へのぼり、繭を出す直前に最初で最後のおしっこを出すそうです。水分を全部出し切ってから繭をつくりはじめます。顔を八の字で動かして糸を吐き続け、一本を全部伸ばすと、なんと1500メートルくらいになるそうです。小さなからだですごいです。

さなぎが脱皮してから糸をとることもできるのですが、一本の糸にするにはさなぎが入った状態でゆでなければならないので、さなぎの命をいただき一本の糸は作られます。

成虫まで育ててもよいですが、一回に500粒卵を産むので、その後のことも考えておいてくださいねという飯村さんの言葉に、参加者の皆さん苦笑いでした。

繭を5、6個重ねたものを広げると…、こんなにも伸びました。軽くて柔らかくて、温かい。吸水性・速乾性のある真綿。触った方も「あたたかい!」と驚かれていました。

 

 

 

飯村さんのお話は終始蚕への愛で溢れていて、気づいたら聞いていた私たちまで蚕の魅力に引き込まれていきました。参加してくださった方々も、育てているうちにきっと蚕への愛がどんどん深まるにちがいないと感じました。みなさん、どのように育てていかれるのかとても興味深いです。

蚕や繭、綿に興味のあるお客様がいらっしゃいましたら、ぜひまたの機会にご参加くださいませ。

以上、養蚕体験ワークショップ参加レポートでした!

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