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ライフジャーナル(大類久隆)

古い価値観から新しい価値観へ

2024.01.02

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、世の中の動きを振り返りながら、新たな価値観や生き方について思うことを書いています。


古い価値観から新しい価値観へ

女性性への尊重が鍵になる

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
新たな年を迎えられたことを感謝したいと思います。

昨年も様々なことがありましたが、世界的に見るとやはり10月に始まったイスラエルとパレスチナ(ハマス)の紛争が大きな出来事として印象に残っていると思います。私は、この紛争をいま世界が抱える問題を象徴しているような事として捉えています。未だに解決の糸口も見えない状況ですが、連日のように悲惨な状況を伝える報道が続いています。

なぜこの紛争が世界の抱える問題を象徴していると捉えているかというと、前回の記事、「混迷する約束の地カナン」【 前編】でも経緯を詳しく書きましたが、この紛争は宗教の違いによる争いではなく、極めて宗教的であった人権問題を民族問題にすり替えたことで、問題がさらに複雑化してしまっているからです。ユダヤ教を信仰する人々の人権問題であったものに対して、ナショナリズムを煽り正義対正義の争いになってしまった。というより意図的にそうしたと言った方が近いでしょう。そしてこれを煽っているのはごく一部の人間であり、この争いで利益を得ている人間がいるということです。この構造そのものが、世界中の民族間や国家間の対立や争いの問題の本質になる部分ではないかと考えています。

では、その目的とは何か?なのですが、長い歴史の中で人類は多くの分断や対立を経験してきました。その分断と対立が起きてしまうきっかけとなっていることは、戦争による敗戦後の統治と植民地支配によって意図的に起こされています。戦勝国が敗戦国をコントロールするときや、宗主国が植民地をコントロールするときに、隣国同士、民族同士を対立させておくのが、最も効率よくコントロールできるという手法です。これにより政治的にも経済的にも対象となる国を完全に掌握することになり、長期にわたり経済的搾取や資源の収奪を行うのを容易にするためといえます。

ただし、この手法のすべてが現在のイスラエルとパレスチナ問題に当てはまるということではなく、事はもっと重大かもしれません。強引にイスラム教徒の多いアラブ諸国の真ん中に建国を行ったイスラエルが目指すのは大イスラエルといって、さらに領土を広げ影響力を行使することです。これの意味するところは、民族問題とすり替えて強引に建国を行ったという事実から見て、周辺のアラブ諸国との摩擦が起きることを最初から想定していたのではないかと言わざるを得ません。建国当初はイギリスの植民地であり、イギリスが大きな役割を果たしましたが、三枚舌外交にあるように最終的に民族間の問題や領土問題を曖昧にしたまま、手を引いたことも理由で、イギリスが過去多くの植民地の統治から離れる際に幾度も行ってきた手法が見て取れるからです。

当時イギリスは戦費調達や経済的支援を多くのユダヤ資本に頼っていたこともあり、イスラエル建国に深く関わり、その役割を果たしたわけです。ただし、この壮大な計画に関わっていたのは、一部のシオニストと呼ばれる人々であり、一般のイスラエル人には何ら関係のないことです。このように多くの争いの原因が、ごく一部の人間たちの思想と利益のために動かされていることが、いま世界で起きている多くの問題を象徴的に表しているということです。

しかし、このような力関係も少しずつ変化が生じています。特に今回のイスラエルとパレスチナの紛争によってさらに本質が浮き彫りになったと言えるでしょう。昨年の年始の挨拶でも書きましたが、一部の政治的、軍事的に強国と言われる国が中心で動いていた、世界のパワーバランスが確実に変化しようとしています。その変化は国家単位はもちろんですが、むしろ国民の中から意識が変わり始め、少しずつ広がりを見せています。今回も日本のイスラエル寄りの報道に意義を唱える人が少なくなかったことも同じだと思います。その意識の変化の特徴は、大きく価値観が転換したことによる結果であると言えないでしょうか。

少なくとも植民地支配が盛んになった、400年以上に及ぶ歴史の中で、常に力の強い者が支配するという構造があり、その構造は支配される国の資源を奪い国民を安い労働力として使ったのが始まりですが、現代でも形は違えど基本的な構造は変わっていません。さらに近代になり、明らかに偏った選民思想や人種主義が台頭したことで、人間に優劣を付ける人種差別が加わり、より根の深い問題となってきました。経済的優位に立つために、他国を侵略して奴隷のように使い資源を吸い上げる。その利益は一部の企業や個人に集中することになります。

一部の大企業や資本家などが政治をも動かしてしまう現代は、メディアで流される情報までもが民主的という名の下にとても偏った内容を流すことで、多くの国民を間違った方向に誘導して、真実から遠ざけていたと言えます。

ところが、多くの人がそのおかしさに気づき始めています。既存の情報源ではなくネットにつながり、大量に溢れる情報から取捨選択して真実に近づこうとし、そして何より、それに対する主張をSNSなどで声を上げていることです。その原動力は、大きな意識や価値観の転換が起きているということに他なりません。それは、お金があり物が豊かであれば幸せであるという古い価値観はもちろん、結果的にそれだけでは誰も幸せになれず、人の尊厳や自由を奪うことになることにハッキリとNOを突きつけています。

今後その変化をさらに大きく飛躍させる一つの鍵になるのが、女性性への尊重だと思っています。いきなり、社会問題の話に続いて女性性への尊重とは、ずいぶん極端だなと感じる方もいるかもしれません。しかし、人類が長い間、男性性優位の社会を作ってきた結果、いま世界に起きているあるゆる問題を抱えることになったと考えています。

女性性の尊重とは、社会で女性を上位に置くという単純な意味ではありません。以前も書きましたが(ライフジャーナル「母系社会が平和の鍵になる」)、女性性を尊重することは、自然のリズムで生きることであり、包容力や柔軟性であり、赦せることであり、そして正義ではなく愛で生きること。そう思っています。

一方で今の社会はどうでしょう。あらゆる生きる場面に求められる競争原理、すべてに優先される経済合理性、人間性や個性を蔑ろにした画一的な教育制度、物質的豊かさが幸せであるかのような偏ったメディアの表現。これらは、すべて男性性を優位に置いたために起きたことです。

人類はあまりにも長い間、これらの常識化された考え方や習慣に埋もれてきたと言えます。そうでないと社会は成り立たないかのように刷り込まれてきました。ところがその結果が、いまの世界であり、そこから抜け出そうにも抜け出せない、もがき苦しむような状態です。長い間に刷り込まれた概念はそう簡単に転換することは難しいでしょう。まだ長い時間と忍耐が必要になると思います。ですが、いまは多くの人が社会の不自然さに気づき始めているように思います。

2024年は色んな意味でとても重要な年になると思っています。古い価値観が崩れ、新しい価値観が表れる転換期のような変化を感じています。いまは産みの苦しみのときかもしれません。ただ確実にその産声を聞くときが来ると信じています。

今年一年、皆さまにとって平和で幸せな年になることを心よりお祈り申し上げます。

『魂を満足させるものは何であれ、真理である。』

―― ウォルト・ホイットマン


文:類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?

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