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ライフジャーナル(大類久隆)

混迷する約束の地カナン 【前編】

2023.12.01

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、現在起きているイスラエルとパレスチナ問題について考察します。


混迷する約束の地カナン 【前編】

イスラエル・パレスチナ問題に
見え隠れする意図とは
目的は混乱そのものなのか?

はじまりは約束の地を巡る争い

連日イスラエルとパレスチナという言葉を聞かない日はないくらい、日々報道で現地の混乱した状況が伝えられています。「なぜ、ここまで混乱した悲惨な状況になるのだろう?」と多くの人が思っているでしょう。この両国のあいだには古くから多くの争いと混乱が続いていました。その争いの過程で生まれた憎しみや悲しみの連鎖が今もなお続いています。

今回は、両国のあいだで起きた一つ一つの事象に焦点を当てて検証するものではなく、できるだけ歴史的背景から全体像を見据えて、問題の本質となっている部分を書いてみたいと思います。
まず、タイトルにある「約束の地カナン」というのは、旧約聖書の中で神がイスラエルの民に与えたという約束の地を指します。聖書では地中海とヨルダン川・死海に挟まれた地域一帯の古代の地名になり、現代のイスラエル国家とパレスチナ自治区が存在する地域になります。

その約束の地を巡って、長い歴史の流れの中で多くの争いがありました。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教のそれぞれの聖地とされたこの土地ですが、現在起きている紛争は、単純な宗教的思想の違いによる争いでは一切ないということです。ここを見誤ると支援策も解決策もまったく的外れになるどころか、かえって混乱を招く可能性もあります。

歴史的な流れから見た問題の本質

現在、イスラエルとパレスチナの存在する地域は、1500年代からオスマン帝国(現トルコ)に支配されていましたが、第一次世界大戦において中央同盟国側であったオスマン帝国が敗戦して、連合国
側であったイギリス、フランス、ドイツ、ロシアなど列強が進出することになりました。主にイギリスとフランスによって委任統治(支配)されることになったのですが、すでに多くのパレスチナ人が住んでいた地域を強制的に支配下に置き、その後ユダヤ人の移住を積極的に行うことになりました。

その直後から、強引に土地や家屋を接収されたり売却することになったパレスチナ人の中で、対立感情が強くなっていったのですが、すでにオスマン帝国時代からユダヤ人の入植があったにも関わらず、その当時は各宗教が共存している状態で、実態は委任統治と言われていても戦勝国による植民地支配と変わらない状況であったのです。

また、この時代のイギリスとしては、第一次世界大戦の戦費の多くをユダヤ資本に依存していました。そのため、ユダヤ人の国家を建設することを約束してシオニズム運動を後押しし、一方でアラブ人には独立を認める協定を結びながら、さらにフランスと中東一帯を分割することを約束するなど二枚舌外交ならぬ三枚舌外交を行ったため、後に大きな混乱を招く結果となったのです。

つまり、イギリスは利害の対立する者同士すべてに良い顔をして利益になるような約束をしたにもかかわらず、内容が曖昧な部分もあったため後の民族対立を激化させる要因になっているということです。しかもあらゆる問題と対立が表面化した後にイギリスは統治を放棄して国際連盟に丸投げするという行為に及んでいます。これが歴史的な流れから見たイスラエルとパレスチナにある問題の本質となっている部分です。

絶えない謀略的手法

イギリスが行った統治は、最初から混乱が起こることを想定した謀略であった可能性があると考えられます。その場合、なぜイギリスはあえて混乱の起きるような統治を行ったのでしょうか?これは明らかに分割統治と同じと言えるでしょう。歴史を遡ればローマ帝国が他の国を支配するために行った手法と同じなのです。つまり、植民地支配を行う場合にその支配する国の都市ごとや民族ごとを分断して混乱させておくことで、支配しやすい体制を作っておくことが目的です。

例えば違う民族や宗教の違うもの同士で対立し合うようにどちらか一方を優遇したり、優劣をあからさまにつけることで、対立関係になるように仕向けます。これにより双方の協力関係を断ち切って宗主国の意図を隠し、コントロールしやすくすることが目的です。

このような謀略的手法はイギリスに限らず歴史上、植民地支配する国では当たり前のように行われてきましたが、現在起きているイスラエルとパレスチナの問題と重ね合わせるには少々乱暴に感じるかもしれません。しかし、世界の歴史を俯瞰的に見るとすべてがこの謀略的手法で動いているといえます。

次回はもう少し具体的な例を挙げて全体像を描いてみたいと思います。お楽しみに!


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


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