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ライフジャーナル(大類久隆)

自律的な地方の時代【後編】

2024.03.01

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、大類が理想と考える地方の在り方について、前後編にわたりお届けします。

前回の記事はこちら
https://naturalharmony.co.jp/tumugi/journal60/


自律的な地方の時代【後編】

自然と人との繋がりを見直すとき
コミュニティが大切なわけ

地方活性のために大切なこと

前回は、現在の地方が抱える問題と理想のあり方について書かせていただきましたが、後編では具体的な事例を踏まえて、私たちが向かうべき方向を描いてみたいと思います。

現在は東京などの都心部に人口やあらゆる機能が一極集中することで、そこにサービス業が多く生まれ、さらに人口が集中するという構図になっています。当然そうなれば地方の人口が減ることは避けられなくなります。
地方が本当の意味で活性化して魅力を感じる土地になるには、どのような取り組みが必要でしょう?それは、人々がその土地に愛着を感じ、地域に根ざした仕事があり、いきいきとした生活があることです。そのためにはまず、第一次産業である農業や漁業を核にすることが理想であり、そして、その地域の資源を十分に生かすためにも、自律的なコミュニティの形成が必要だとお伝えしました。

生まれた小さなコミュニティ

具体的な事例を挙げると、私たちの取引先である「タルマーリー」は、最初千葉県いすみ市で自家製酵母のパン屋をご夫婦で開業しましたが、2011年の東日本大震災の後、発酵に欠かせない良質な水と環境を求めて、岡山県智頭町に移住しました。パンに利用する天然酵母も最初に酒種を作るため、麹菌を自然環境から採取するというこだわりがあります。

さらに使用する素材も自然栽培であることが一番よく発酵することに気が付いたことで、自然栽培と天然菌の組み合わせで豊かな里山を実現しようというテーマを掲げ「パンを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」事業を目標にしています。現在では、天然の菌で造るクラフトビールの醸造をはじめ、カフェの営業や一棟貸しのホテルをスタート。その地域で収穫された自然栽培原料と採取された天然菌、そして良質な天然水によって、発酵を起点とした地域内循環を目標にした持続可能な町づくりを目指しています。

 

 

また、現在は取引先で、元ナチュラル・ハーモニースタッフのご夫婦が営む「蒜山耕藝(ひるぜんこうげい)」は、千葉県内の自然栽培農家での研修を経て、2011年の東日本大震災の後、岡山県蒜山に移住して自然栽培で農業を始めました。毎年模索を続けながら、現在はお米を中心に穀類や野菜を栽培しており、面積が全体で七町歩に広がっています。

現在は不定期で予約制の飲食店を始めて、自ら栽培した素材を生かした料理を振舞っています。また、加工食品にも力を入れており、それをオンラインで会員を募り、支援者となった会員に販売や情報提供を行っています。現在では、同じく蒜山に魅力を感じて地元の大豆や自然栽培大豆を使った豆腐を製造する豆腐屋さんや、ミシュランの一つ星を取ったうなぎ屋さんが蒜山耕藝に刺激を受け東京から移転してくるなど、蒜山耕藝を中心に物作りの作家などを含めて様々な人々が集まって、コミュニティが作られています。

双方に共通するのは、同じ千葉県から震災後に岡山県に移住したことだけではなく、一次産業をベースにしたことや、自然栽培や天然菌の発酵食品を作るために必要であった豊かな自然と良質な水を求めたことと、自然との調和した生き方を実現するためでした。そして、その取り組みをきっかけに様々な人々が集まり、また支援者が商品の購入や情報を拡散することで、新しいコミュニティが形成されていることです。

もちろん規模からすれば、とても小さなコミュニティであり、経済規模から見ても、まだまだ小さなものです。ですが、岡山県智頭町では電子マネー型の地域通貨を導入する実験が始まっており、コミュニティ内に通貨が循環することで、少しずつですが、通貨の量が増え経済活動も活性化することになります。

 

小さな繋がりが大きな文化へ

このような取り組みが、いずれ広がりを見せてコミュニティ同士が連携することで、さらに大きなコミュニティとなり、自然と調和した生き方を実践する人々の魅力ある生活圏が拡大するかもしれません。取り組みとしてはまだ始まったばかりですが、そこに私たちのような流通業者も加わることで、商品の加工や販売のお手伝い、またコミュニティ同士の連携を促すことができると思います。そような関係性を作りながら、最初は小さな村だったものが町になり、年月とともに一つの文化圏ができるかもしれません。

さて二回にわたってお伝えした「自律的な地方の時代」ですが、まだ理想論として聞こえるかもしれません。でも今こそ理想が大切なのだと思います。やがてその理想が世界中の共感する人々を繋げることになれば、本当の意味で地球が変わるときかもしれません。

 

■タルマーリー
https://www.talmary.com/

■蒜山耕藝
https://hiruzenkougei.com/

 


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


> ナチュラル・ハーモニー ONLINE STORE

> ナチュラル&ハーモニック プランツ(直営店舗/横浜センター北)

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