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ハーモニックライフ（調和する生き方）という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類（おおるい）が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、大類が理想と考える地方の在り方について、前後編にわたりお届けします。
自然と人との繋がりを見直すとき
コミュニティが大切なわけ
私は関東出身・在住ですが、各地の生産者さんやメーカーさんから、地方の経済や地方自治体の財政が厳しいという話を良く聞きます。実際に地方を訪ねると、商店街はシャッターが閉まったままのシャッター街になっていたり、公共施設が閉まったままのところも少なくありません。昔から地方の活性化と称して箱物行政とよく言われた、莫大な予算をかけて大型の公共施設を建てたものの、十年も立たないうちに採算が合わなくなり廃墟同然になっていた、ということなどもあります。
そうなってしまっても、地方の人口は減り、高齢化も進み、経済的に見れば採算が合わなくて当然と言われてしまいます。よほど観光資源が豊富でもない限り、活性化などほとんど不可能と見られています。それがいま日本の地方の多くが置かれている状況でしょう。
そこで、これからが本当の地方のあり方が問われるとき、だと感じています。行政や大企業が主導で造る施設のすべてが、意味がないとは言わないのですが、本来の地方のあり方は、自律的に生まれてくるコミュニティによって発展することが理想と考えています。
自律的という意味は、個人や小規模な事業の単位で、その土地に根ざした事業や活動がなされていること。その土地の環境や利点が生かされていること。そして、そのような環境から自然にコミュニティが形成されてくることを言います。
もちろんその過程で、行政や外部の企業の支援があっても良いのですが、最終的にその地域にしっかりと腰を据えた事業が展開することが重要だと思います。ただ、そう簡単なことではなく、条件が整わなければかなり難しいのも確かです。手順をしっかり踏まないと孤立して終わりと言う可能性も十分にあり得ます。
そこで、ひとつの条件として、やはり農業や漁業といった第一次産業が核となっていることが、後の発展性を想像するとより理想的と考えます。その主な理由は、地産地消の考え方に基づいています。
例えば農産物から加工食品を製造する際、コストを下げるために原料を遠方からエネルギーを使って輸送することを避けて、その地域の資源を効率的に生かすことも同じです。もちろんすべての原料を地元
で揃えることは困難なので、基本的に主原料を生かすという考え方です。
コロナ禍を通して、都心を離れて仕事をする人が増えました。生活環境や生き方を変える選択をした人たちの多くが、いまの経済のあり方や社会の仕組みに疑問を持ち、もっと自分らしい生き方と同時に、自然との繋がりが必要である、という価値観が共通しているのではと思います。自然との繋がりとは、単純に風光明媚で緑が多い環境に住むという意味ではなく、市町村によって区切られた地域に囚われず、本来の地形や地質や水質、その土地の気候、植物の植生、四季による変化、歴史的な背景など、風土と呼ばれる、肌で感じ取ることのすべてを意味しています。
このように、その土地や地域に根ざした生き方を共感する人々が自然に集まることでできる、コミュニティが大切だと考えています。もちろん現代では都会だけでなく、地方でも人間関係が希薄であると言われる時代です。近所付き合いが煩わしいので最低限にしておきたいという気持ちも分かりますが、ここで言うコミュニティとは決して近所の付き合いだけではなく、もう少し広い範囲を指しています。インターネットで繋がることができる現代では、地方の農産物を直接消費者に販売して届けることができます。そして、その活動に共感する支援者を含めたコミュニティ作りが大切だと考えています。
これが現代における顔の見える関係であり、この活動を続けることで、その土地ごと地域ごとの風土に合った文化が育っていくでしょう。文化とは本来は風土を基盤として、長い歴史の中で培われた習慣や営みがしっかりと根付いた状態の結果だと思っています。その価値観に共感する人々を含めた繋がりで作り上げていく姿が、理想的なローカリズムであると言えないでしょうか？
さて。今回は新たな地方時代についての前編をお届けしましたが、次回はさらに深掘りして、事例を含めて私の考える理想のローカリズムや経済の仕組みを書いてみたいと思います。ぜひお楽しみに！
大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……？
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