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ハーモニックライフ（調和する生き方）という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類（おおるい）が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は前編として、いまの経済が抱える問題と変わりつつある社会について考察してみました。
いま何が一番の問題なのか。
価値観の転換はそこまで来ている？
八年ほど前の2015年に「未来への提言」という記事を書いたことがあったのですが、その中に私の予想する今後10年ごとに起こるであろう社会の変化を書きました。2015年の10年後にあたる2025年には、経済の仕組みに不具合が起こり始め、価値観の大きな転換が起こると書きました。それは、物やサービスは「所有する」ものではなく「共有する」という価値観に置き換わっていくことで起きる現象という意味です。その例として、大企業は合理的かつ大量に安くモノを製造する姿勢から変化し、より環境に配慮した、個人の細かいニーズに応えられる商品やサービスを提供し始めるようになり、企業の規模も少しずつ縮小していくのではないかと書きました。もちろん予言めいた事を書くつもりはなかったのですが、2年後にそのような変化が本当に起こる確率が高くなってきたと言えます。
2年後に社会の仕組みすべてが転換するとは思いませんが、少なくとも経済的な仕組みが、転換せざるを得ない状況になる可能性は十分にあります。それは貨幣の仕組みを理解すると明確なのですが、いま先進国を中心に貨幣の量が物凄いペースで増え続けています。特に米国が顕著で、それだけ貨幣を発行してきたからに他ならないのですが、単純な貨幣の流通量だけではなく、国債の発行も含めて、貨幣が増え続けないと経済活動を含めた社会の機能が止まってしまうということが、現代の経済至上主義の構造的な問題の本質です。
つまり、現代のお金の問題を一言で説明すると、お金を発行する仕組みそのものにあるということです。お金は日銀のような中央銀行が輪転機を動かして紙幣を刷っているイメージですが、実際はそうではなく、民間の銀行が誰かに貸し出しのために発行したとき初めてこの世に生まれます。誰かが借金をするとき、銀行は金庫から現物のお金を出すのではなく、コンピュータ上の数字を打ち出しただけで、現物のお金は存在していません。これを「信用創造」と言います。その負債に利息が付く限り、返済する時にその利息分のお金が余計に必要になるため、世の中のお金が永遠に増え続けなければならない運命にあります。難しい説明は省きますが、銀行が個人や企業に貸し出すことか、政府が国債を発行することで新たなお金が生まれて、世界中をめぐっているということです。
世界中に存在するほとんどのお金は誰かの借金であるということ。この異常性に気が付いている人がどれだけいるでしょうか。いま経済の構造について様々な前向きな議論がありますが、せいぜいこの仕組みをどう延命するか、経済格差をどう是正するかの議論に留まっています。この貨幣制度の致命的な欠陥に焦点を当てて改善しようという議論はほとんど見ることはありません。
その膨大に増え続けるお金の量に対して、経済的な常識で言えば、資源や物が同じ量だけ存在しないと構造上バランスがとれません。しかし物理的にそんなことは不可能であり、資源を使い尽くして地球がもう一つあっても足りないということになります。これが、経済至上主義を推し進めた現在の地球が置かれている状態であり、地球上に存在する環境問題や人権問題など、あらゆる社会問題の元凶なのです。
未来は人工知能やデジタル技術が進み、人類の生活環境が劇的に変わると言われています。しかしそれは、あくまでも物理的な変化に過ぎず、本当に必要な変化は人類の価値観の転換であると考えています。実は、少しずつですが変化の兆しが見え始めています。物質的な豊かさではなく、心の豊かさを追及する生き方を選択する人々がコミュニティを作り、自己満足の世界観ではなく、より積極的に社会の仕組みそのものを変えようと活動しているようです。それは、地域通貨による地域単位の経済圏を作ることや社会貢献のためのビジネスを立ち上げること、相互扶助を目的として組織を作ることなど様々ですが、そのような草の根レベルの活動が積極的に始まっています。
次回は、ナチュラル・ハーモニーが考える理想の未来と、どうしたら実現に近づけるかを語ってみたいと思います。その鍵になるのは、地域の繋がりと個人の自由や思いですね。
大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……？
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