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ライフジャーナル(大類久隆)

今こそ自然栽培の意味を理解しよう

2022.08.19

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、今こそ考えたい「自然栽培の意味」について深く理解していきたいと思います。


今こそ自然栽培の意味を理解しよう

安心安全を超えた大切な意味
すべて生き方に繋がっている

ちょうどこの原稿を書いているのが参議院選挙の真っ只中になるのですが、某政党が農業政策の一環として自然栽培を掲げています。選挙戦の最中に自然栽培という言葉が出て来たことに驚きましたが、これを機会に多くの人が知るきっかけになることは広い意味では良いと思います。

そこで今回は簡単に、その政党が自然栽培を標榜する背景や、それに対する世間の反応を見て思ったことを書いてみます。まず、その政党名は書かずに新しい政党であるとだけに留めます。

一般的には保守政党というイメージですが、最近保守と名乗る人たちの多くが、対立軸としてグローバリズムや経済至上主義を意識していることに注目しています。つまり、「国境を越えた多国籍企業が、TPPのように国の政策まで影響力を行使する状況」に対抗するため、日本を取り巻く経済のみならず、政治的環境までもが保守思想としてナショナリズムを意識することは、間違いではなく当然の流れかも知れません。

その中で、安全な食を政策の中心に位置付けているのは大いに評価でき、さらに自然栽培を打ち出していることから、代表者の食や農業への関心の高さを知ることができます。

もちろん自然栽培のアドバイスを行っている協力者の影響も大きいと思いますが、いまや農薬や肥料などのあらゆる農業資材を輸入に頼り、主要な穀類の種子の情報や権利が守られず、安い農産物が輸入され続けるという点。さらに食品の添加物基準や残留農薬基準が緩められている状況の多くが、外圧によってなされ多国籍企業の影響力によって起きていると結論付けているのが特徴的で、保守的立場からできるだけ農薬や肥料に頼らない自律的な農業にシフトしようという考え方です。

この関係性をもう少し簡単に説明すると、かつては保守に対して革新という構図、つまり右派対左派という構図であったものが、保守対グローバリズム(経済至上主義)という構図に置き換わっています。これは日本に限ったことではなく、米国やフランスでも同じような現象が起きていて、経済至上主義から国や国民を守ろうという声が特に若者の間で広がり、新しい保守政党を勢いづかせています。

さて、自然栽培に対しての有権者の反応は様々です。「安全な食と自然栽培を大いに歓迎する」という声と、「国の農業政策に自然栽培などあり得ないし農業を理解していない」や「世界の人口の半分が飢えるのではないか」との声もあります。確かに不特定の場所でいきなり自然栽培を始めるのは無理があり、様々な条件を整えないと農業として成立しないのは確かです。
しかし、多くの批判的な意見を見ると方法論の部分だけで現実的ではないと判断を下そうとしているようです。当然そこだけ見ればあり得ないという意見にもなるでしょう。

ここで私たちが、最も重要と考える点をお伝えしておこうと思います。私たちが自然栽培の取り組みを進める上で大切にしているのは、理念と合せた理解がとても重要であるという事です。そこが抜け落ちたまま議論が進んでしまうと、「狂信的な人たちが行っている特殊な農法で実現性はない」という判断にも繋がり、世間的に一度そのようなレッテルが貼られると誤解を解くのにとても労力と時間がかかります。

自然栽培とは、単純に農薬や肥料を使用しない農法ではありません。自然の摂理に学びそれを調和とともに生き方としても実践すること。その過程では過去土に施してきた農薬や肥料を肥毒という形で向き合う必要が出てきます。その結果を受け入れて解消していくことが、土の本来の能力を引き出すことになります。

これは土も体も心も同じであると考えており、生き方そのものであると伝えています。私たちはこれからが自然栽培を世の中に伝える最も大切な時期であると考えています。奇しくも選挙の時期に合せて自然栽培が議論されていることは、偶然ではないのかも知れません。
ぜひ、表面的な議論に留まらず本質である理念まで深まることを祈りたいと思います。 


文:類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?

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