群馬県前橋市。ここに、とある3 姉妹の営むお店「サンデールーム」があります。姉妹の長女、星野 充子さんが代表を務めています。
1階はお米や野菜・日用品の販売スペース「自然食材店KURA」、2階は天然繊維のウェア・家具の販売、イベントスペースの「自然素材の衣と家具店03」を展開しています。柔らかくて居心地の良い空気が満ちているお店です。
戦後間もなく星野さんたちの祖父母が始めた食堂「味の店」。それをご両親が引き継ぎ、お店を守ってこられました。1999 年、さらにご両親からお店を受け継いだ星野さんが中心となり、「サンデールーム」としてリニューアルしました。
「 もともとお店でも、自分たちでいいなと思ったものを扱っていたけれど、お店でお食事を出すようになったら毎日来てくれる人もいて。だから、自分たちが毎日食べたいと思えるようなものをきちんとお店でもお出ししたいと、強く思うようになりました」。
食材の販売に加え、食堂として使っていた設備でカフェもオープン。
日常的にお店に来てくださる方々にどうやって寄り添うことができるだろう。そんなことをいつも思いめぐらせてお店に立っていることが伝わってきます。
そこで、勉強のために東京の様々な飲食店を巡るようになりました。そしてある日入ったのが北青山にあったレストラン アンゴロ(ナチュラル・ハーモニー旧直営レストラン)でした。
「アンゴロで食事をして、『すごくおいしいなぁ、ここ好きだな』って思いました。でも自分が何に惹かれたのかその時はわからなかった。数年経って、店のお客さまがチラシをもってきてくれたのをきっかけに、ナチュラル・ハーモニー主催のセミナーを受講したのが2011年の2月。
セミナーの内容にとても感激しました。でも当時は自然栽培って特別な人が食べるものなのかなと思っていた。……そしたら地震が起きた」
東日本大震災の発生直後を振り返る星野さん。
「このまま生きていけないのかもとも思いました。でもお店もある。もしどうにかなってしまうのなら、本当にこれだ!と思うことをやりたくなったんです。震災がなかったら、ゆるやかにお店をしていたかもしれません。……あの時から、本気で生きよう、と思いました」
「 例えばお米の場合、自然栽培のお米は自分が多少ブレててもフォローしてくれる。鍋でご飯を炊くからかもしれないけど、水や火加減・蒸らしが多少違っていても、いつでも美味しく炊きあがるんです。おおらかで、ふところが深いのかな」
お店では、自分たちが日常でも使う、美味しい・心地いいと思えるものを取り揃えています。地元の生産者さんの自然栽培の野菜、その他食材が生き生きと並んでいる様子を見るだけで、温かく手をかけられている様子が伝わってきます。
「お店で食べていただいていた時もありがたかったのですが、やっぱり普段家で食べてもらいたくて。おいしい食材、きちんとした調味料さえあれば、毎日の料理はラクで楽しいんです。そんな普通のことをお伝えしていきたいですね」星野さんは微笑みます。
自分に正直に生きている人って、なんて鮮やかな表情をするんだろう――。
思わずこちらも微笑んでしまう明るい笑顔でした。
サンデールーム
群馬県前橋市千代田町5-4-2
TEL : 027-231-5600
WEB : http://sundayroom.net/
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