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ライフジャーナル(大類久隆)

「民主主義は終わったのか?」前編

2025.05.31

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は世界で民主主義が揺らいでいる今、民主主義に何が起きているのか、現状を整理しながら考えてみたいと思います。


 

「民主主義は終わったのか?」前編

世界で民主主義が揺らいでいる
それでも未来に希望がある理由

最近の世界の流れを見ると、多くの国で様々な政治的混乱が生じていて、「民主主義国家」であるにも関わらず、国民の思いとは逆行しているかのような出来事が起きており、民主主義の仕組みそのものに疑問を持つ人が増えているようです。そこで今回は、あらためて民主主義に何が起きているのか、現状を整理しながら書き進めていき、そんな中でも希望を捨てずに新たな民主主義の取り組みを行う国を紹介したいと思います。

 

民主主義は機能しているのか

米国がトランプ政権に代わり、その政策の進め方に混乱が生じていると多くのメディアが伝えています。そもそもトランプ大統領を選挙で選んだのは米国民であり、実際かなりの大差で勝利したことから、民意がしっかり反映されているはず、と考えられそうなものですが、たとえばイーロン・マスクと政府効率化省への反対デモの様子からも、必ずしもそうではないという状況にも見受けられます。また韓国では、ユン大統領が政治的混乱を治めるため、という理由で戒厳令を出し、その後、議会が弾劾訴追したことで罷免され、大統領を失職しました。ユン大統領も、もちろん民主主義のルールに従って選挙で選ばれた大統領でした。

米国と韓国の例を挙げましたが、世界を見ると民主主義を標榜する国々が、全く逆行するかのような政治的、経済的混乱が生じていることが少なくありません。もちろん紛争や戦争状態の国も含めてですが、果たして民主主義は機能しているのだろうか、と疑問を感じます。



データが示す民主主義の国

英国のエコノミスト誌のグループ企業の調査部門が発表している、民主主義指数という世界167の国・地域を対象に各国の民主主義の状態を評価しているデータがあります。昨年2024年のデータの中で、完全に民主主義が機能していると評価された国は、わずか25か国であり、対象となった国全体の人口比率から見るとわずか6.6%に過ぎません。特に上位10か国に入った国は、ほとんどが北欧と西ヨーロッパの国で占められています。ちなみに台湾12位、日本16位、英国17位、米国28位、韓国32位となっています。もちろん、このデータが完全な公平性をもって対象となった国を評価できているかは検証の余地があるかもしれませんが、少なくとも60の指標に分けて細かくスコアが付けられ、政治的透明性や人権などの点から政治体制を分類していることから、ある程度の信頼性ある指数になっているのは確かと言えます。

民主主義国家と言われる国々でも、国としての成り立ちや政治的背景、また人種や宗教などの影響も様々であることから、一律に何をもって民主的であるかを比較するのは難しいかもしれません。しかしながら、基本的に民主主義国家では、国民に主権があり、直接的、間接的に政治に参加できること、憲法が存在して国家権力の濫用を防いでいることなど、これらのルールに基づいて国の運営がなされているはずです。ところが、不正選挙など政治的な権力の濫用や腐敗が起きたり、行政を含めた特定の利権構造ができあがっていたり、政治家と企業との癒着があるなど、とても民主的と言い難い状況が数多く起きています。



日本は民意が届いているか

では、果たして日本はどうなのでしょうか? 単純に世界の国々と比較すれば、民主的な国家であると言えます。前述したデータで見てもアジアの国で25位以内に入ったのは、台湾と日本のみでした。もちろん日本では、民主主義の基本的な条件である、選挙が実施され、三権分立が機能しており、市民の表現の自由も保障されています。そういう意味では、民主的国家と言えるのかもしれませんが、もう少し視点を変えてみて、政治に民意がしっかり反映されているだろうか?つまり政治や行政機関に国民の思いや意思が伝わり、それに従った国の運営が行われているだろうか?という目線から見ると、少し違った問題点が浮き彫りになります。

例えば、人口減少や少子化対策への課題、30年間にわたる経済の低迷と上がらない給料、所得格差の増大、年金支給年齢の引き上げ、国民負担率の上昇。また食の問題でも種子法の廃止、減反政策、農業を守らない数々の政策など、数えればキリがないほど問題が見つかります。これらは、果たして国民の思いや意思が反映している結果と言えるでしょうか。さらに、生活ができないのは自己責任であるかのような社会のあり方が、すべての問題を象徴しているような気がします。

さて前編では、世界で民主主義が揺らいでいることや、日本の政治が民意を反映しているのか、という問いかけまでをお伝えしました。後編では、日本の社会の問題の本質や、新たな民主主義を模索する国の取り組みをご紹介したいと思います。お楽しみに!


(次号につづく)

■参考資料:「民主主義指数」
エコノミスト・インテリジェンス・ユニット


文:類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?

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