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ライフジャーナル(大類久隆)

本当のエコロジーとは【前編】

2023.04.03

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、現代のエコロジーの抱える矛盾と疑問点について考察してみました。


本当のエコロジーとは【前編】

環境対策の矛盾と忘れてはいけない大切なこと
先人たちの哲学に学ぼう

近年は、様々な環境保護の取り組みが地方自治体や国単位でも積極的に行われています。古くは合成洗剤を減らすことから、石油由来のプラスチックの削減、CO2を始めとした温暖化ガス削減の対策ですが、最近では、自動車のEV化促進や代替タンパク質食品の取り組みなど、企業が主導で幅広い分野の研究や取り組みも行われています。

しかし、特に企業主導で行われる取り組みには、少々疑問を感じることがあります。もちろん、それぞれの企業や研究者単位で考えれば、その組織内の取り組みとしては間違いではなく、それなりに社会的評価がなされるのかもしれません。ただし、あまりにも拙速に過ぎるというか、急ぎ過ぎている気がします。

例えば、世界規模で推進している自動車のEV化ですが、バッテリーに使用する希少金属であるリチウムやコバルトは、世界的に見ても限られた場所でしか採掘できません。その採掘量も極めて少なく、採掘する周辺環境への悪影響や精製する際の化学物質による環境負荷がとても高く、また採掘地域の強制労働など、健康への配慮や人権問題も含めて多くの解決すべき問題が残されたままです。

多くの国が2035年までにガソリン車の製造販売を中止するとの国際的な取り決めのような認識になっていますが、そのバッテリー問題などを解決しないままでは、実際に販売されEV車を利用する先進国はクリーンなのかもしれませんが、採掘や精製工場を抱える発展途上国の負担が大きすぎて、深刻な環境の格差ともいうべき問題が広がっていく可能性があります。

また、温室効果ガスの一つと言われているメタンガスですが、最近は牛のゲップも原因であるとして乳牛や肉牛の頭数を減らすことや飼料の改良によって削減しようとしています。日本ではコロナの影響もあり、牛乳の余剰が発生して乳製品の廃棄問題が起きたため、牛を処分すると補助金を出すという政策を行っており、その一方で貿易協定の都合で乳製品の輸入を拡大するという本末転倒な状況が起きて
います。

そもそも牛は草食動物ですが、乳牛も肉牛も成長促進のために大量の穀類を与えられています。牛の胃は本来牧草を消化するための構造になっているため、体質に合わない穀類を大量に摂取することで消化不良などが起きて、最終的に体内でメタンガスが発生している場合があります。経済合理性を優先して無理な飼育で頭数を増やしてきて、今度は温暖化を促進するからといって牛を屠畜して調整するなど人間都合でしかありません。本来の牧草主体の飼料であればメタンガスを減らすことにつながるでしょう。

これらのように、多くの取り組みが経済性を優先することで、一部の企業の論理やその場都合での対策に終始して、環境問題の本質からかけ離れてしまったといえないでしょうか。例を挙げればキリがないほどですが、なぜこれほど本質からかけ離れた取り組みや政策がなされる事になったのでしょう。近年のSDGsに関連した取り組みの多くが、企業主導でビジネスとして取り組めることが、大きなテーマになっています。

もちろん企業として貢献できることは沢山あると思いますし、それ自体は悪いことではないのですが、EV車のように法的な方向付けが強力になされ、他の選択肢がなくなってしまうことに疑問を感じます。環境保護と一口に言ってもその考え方には、とても複雑な要素が絡み合っているため、慎重さを欠くと最初は良かれと思って行ったことが、まったく逆の結果をもたらすことがあります。

さて、今回は「本当のエコロジー」と題して前編をお伝えしました。現代のエコロジーの抱える矛盾と疑問点を挙げましたが、後編では「本当のエコロジーとは何か」を先人たちが残した哲学に基づいて、自然との繋がりや、人間としての永続的な生き方と価値観について語ってみたいと思います。
ぜひお楽しみに。

> 続きはこちら 「本当のエコロジーとは」【後編】


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


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> ナチュラル&ハーモニック プランツ(直営店舗/横浜センター北)

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