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ライフジャーナル(大類久隆)

自然界と共生する世界へ

2023.03.07

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、自然との共生について、微生物の観点から考えてみました。


自然界と共生する世界へ

微生物の不都合な真実
すべては絶妙なバランスの世界

ナチュラル・ハーモニーではかねてから菌やウイルスと共生する世界が理想であると伝えてきましたが、これは人間が生活する周辺の環境だけの話ではありません。
以前もお伝えしたように、現在世界中で使われている抗生物質などの抗菌薬のうち80%は動物に使用されており、その動物の中でもほとんどが家畜に使用されています。その理由は、飼料に混ぜることで腸内細菌をはじめとした体内の細菌類を除去して、栄養吸収を合理的に進めて成長促進させるためです。つまり家畜をより短期間で太らせることが出来るため、日常的な投与が行われているのが現状です。

ところが、抗生物質に耐性を持った薬剤耐性菌が世界中で発生することになり、国連の発表によるとこのまま手を打たなければ、2050年までに年間一千万人が死亡する事態になり、世界は破滅的ダメージを受けるであろうと言われています。この発表の数字がどこまで信憑性のあるものかは分かりませんが、少なくとも人間を含め動物にも薬剤耐性菌の被害が拡大していることは確かです。

厚生労働省の調査によると、日本に流通している鶏肉の約550検体を調べた結果、全体の49%から薬剤耐性菌が見つかっています。これは日常的に抗生物質を与えられたことにより、鶏の腸内にいる菌が薬剤耐性を持ったためです。この調査で出た検出値では健康上の問題が表面化するほどではないのかもしれませんが、微量であっても、そもそも存在する食中毒菌がさらに薬剤耐性を持つ可能性もあり、食中毒になった場合に一般的な治療法としての抗菌薬を処方することができず、治療が困難になる可能性があります。

世界規模で抗生物質を乱用することによって、すでに自然環境への流出も続いています。世界中の主な河川を調べると、下水から排出された抗菌薬とともに薬剤耐性菌が必ず検出されます。国や地域によっても差がありますが、国によっては安全基準の300倍以上の抗菌薬成分が検出されるところがあります。このような自然環境への曝露が続くことによる生態系への影響は避けられず、もちろん抗菌薬に限らずあらゆる化学物質が対象になると思いますが、これを放置すると微生物をはじめとした動植物すべての生態系のバランスが崩れ、その害は私たちの想像を超えた結果をもたらすことになるかもしれません。

抗生物質は1920年代に開発されて以降、肺炎や結核などの致死性細菌の感染症から多くの人の命を救ってきたことは事実です。しかし現代になり安易に大量の抗菌薬を使用してきたことで、曝露した微生物が変異することで耐性菌となり、毎年多くの人や動物が犠牲になっています。抗菌薬の日常的な使用は、体内に必要とされる常在菌を失い、身体の大切な免疫機能の一部を失うことになります。そこにさらに変異した耐性菌が発生するとなれば、生命に大きな影響を与えると考えられます。

この話は抗菌薬に限ったことではありません。抗ウイルス薬や農薬など、あらゆる化学物質の生態系への影響にも同じことが言えます。微生物や植物は化学物質に曝露するなど、大きな環境の変化に対して突然変異して生き残ろうとする能力があります。結果的に、人間自らの短絡的な行為が仇となって返ってくることになりかねません。

本来、私たちは菌やウイルスなど微生物と完全に共生して生きてきました。自然界は何の過不足なく、絶妙な調和とバランスで生態系を保っており、それぞれの存在にも必ず意味があります。もし人類がより健全で調和的な未来を望むのであれば、根本から自然界との共生・共存とは何かを考え直すときでしょう。

※ナチュラル・ハーモニーで取り扱う食肉や鶏卵は、法律上必ず投与しなければならない初回のワクチンを一回使用していますが、抗生物質をはじめとしたその他の投薬は一切行っておりません。


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


> ナチュラル・ハーモニー ONLINE STORE

> ナチュラル&ハーモニック プランツ(直営店舗/横浜センター北)

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