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ライフジャーナル(大類久隆)

いま分断を越えるとき【前編】

2023.01.01

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、分断された世の中で、デジタル技術によって起こるもう一つの潮流について考えてみました。


いま分断を越えるとき【前編」

新しい価値観と多様性を認め合うことが鍵になる
デジタル技術によって起こるもう一つの潮流

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
新たな年を迎えられたことを感謝したいと思います。

2022年は皆さんにとってどのような一年だったでしょうか?日本は相変わらず新型コロナの対策や、ワクチンをめぐって混乱した状況が続いています。まさか今年の年頭の挨拶でもコロナの話題を書くことになるとは思わなかったのですが、3年にわたって続く状況に、さすがに多くの人々も政府の対応に疑問を持たざるを得ないと言えるかもしれません。

また、昨年の2月にはロシアとウクライナの紛争が始まり、世界に大きな衝撃が走りました。その後も一年近く一進一退の状況が続いています。この両国の関係性には歴史的に見ても複雑な背景がありますが、それ以上にその他の国々の思惑が色濃く表れた紛争であると思っています。この紛争についての詳細は避けますが、少なくともEU諸国を中心として世界中の石油や穀物の価格に大きな影響が出て混乱が続いているのは確かで、これ以上の犠牲者を出さないためにも一日も早い平和的な解決を祈りたいと思います。

崩れ始めたピラミッド

このように世界に混乱が続く状況ですが、起きている出来事の全体を俯瞰的に見ていくと一つの方向性(動き)が掴めてきます。それは、世界の国々のパワーバランスが変わろうとしていることです。これまではアメリカが世界の経済でも軍事力でも大きな影響力を行使してきましたが、今回のロシアとウクライナの紛争によってそこに陰りが見えはじめ、各国の本音と建前がありつつもそれぞれの立場が浮彫になってきたのです。

例えば、今まで米ドルが世界の基軸通貨として半ば強制的に流通していたものが、そこから離脱する国が出てきました。これまで長い間、石油の決済にはドルを使用しなければならないというルールがあったため、米国政府は「オイルダラー」が還流することで、世界最大の対外債務国(借金国)にも関わらず、国内の経済力や軍事力を維持してきました。しかしいよいよそのバランスが崩れ始め、石油の取引相手国の通貨や自国の通貨での決済に切り替える国が増え始めてきています。これは、世界のパワーバランスが変わることを示唆しています。

もちろん、パワーバランスとはあくまでも力関係であって、世界中の経済や政治体制が一変する訳ではありません。とはいえ米国の覇権国としての影響力は確実に衰えることになると思います。これまであらゆる外交面で他国への政治に必要以上に介入してきた歴史から見ると、ロシアとウクライナ問題もけっして例外ではなく、その影響力が見え隠れしていました。

しかし、米国の同盟国である日本ではまだ実感はないかもしれませんが、今後、政治と経済の両面で影響が出てくる可能性があります。ただし、前述した通り力関係が変わるだけで覇権国が別の国に移るだけかもしれません。そうなったとき日本の立場がどのようになるのかは予想がつかない部分がありますが、少なくとも世界では力関係が分散して多様化、多極化が進む可能性があります。

常識が変わりだす

さて、新年早々から堅苦しい政治的な話題で恐縮ですが、ここからが本題になります。これからますます世界で常識と考えられてきた国家間のルールが変化していくことになるでしょう。というよりも足枷が外れると表現した方が近いかもしれません。

米国からの政治的な干渉が減ることから、外交や経済の面で自由度が増え、今まで分断されていた国同士の交流が突然再開したり、思わぬ国との経済協力が進んだりすることになるかもしれません。もちろん各国の政治体制にもよりますが、当然ながら自国のための政策もしやすくなるのです。

とてもおかしな話ですが、例えば他国との自由貿易協定があるためにそのルールを優先して、自国民を守るための政策を確立できず自国の農業を守れない国が沢山あります。しかし今後は、この状況や枠組みが少しずつ壊れていくのではと考えています。

「でも、推測ばかりで現実味がないのでは?」と思われる方も多いでしょう。もちろんこれは、一つの側面を捉えているので、社会に起こるすべてを予測してお伝えすることは出来ません。しかし大切なのは、今世界中で発信されている情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、その背景などを踏まえて繋ぎ合わせていくこと。そうすれば、これから起こるであろう変化が少なからず見えてきます。

昨年の年始の記事ではメタバースの話をお伝えしましたが、これから社会のデジタル化は避けて通れません。一見すると便利な世の中になりますが、気が付くとすべてを管理され、個人の考えや自由を大きく制限される可能性が高くなると考えます。一方で、もう一つの新たな側面として、そのデジタル技術を逆に利用して世の中を良い方向に変えていこうという動きがあります。

現代のインターネットは、世界中の情報を瞬時に伝えることができます。そのため、世界の裏側で何が起きているかを、既存のニュースより遥かに正確に伝えていることがあります。もちろん情報量が多すぎて、不正確なものを含めると取捨選択が必要な場合もありますが、テレビや新聞では得られない情報を入手することが出来るのは確かです。

デジタルネイティブが描く未来

さて、現在30歳未満の人たちは、幼いときからパソコンやスマートフォンに触れており、いわゆるデジタルネイティブと言われています。その世代ではインターネットがあるのが当たり前であり、SNSなどの使用が生活の一部になっていることも特徴でしょう。その世代の意識として、古いイデオロギーによる硬直した世界観や、国家という概念が希薄なのではないかということも言われています。自分の趣味嗜好や価値観に合う仲間といつも繋がっており、そこに国境や人種の障壁をあまり感じないようです。そのような若い世代から見れば、現代の社会常識や価値観がとても古臭く感じられると思います。

この世代を上の世代から見ると、現実性が乏しく捉えどころがなく見えるかもしれません。しかしながら最近では、仮想空間上にまったく新しい社会システムを構築してしまおうという動きがあります。もちろん仮想空間であるため現実社会の公的機関、制度との繋がりはないにしても、そこには選挙制度や政策の決定機関、立法機関なども存在することになります。誰でも希望すれば、その取り組みに参加することができますが、最大の特徴は、中央集権的にコントロールする人や組織が存在しないということです。つまり完全に分散化されたシステムになっており、権力がどこかに集中することがありません。さらにそこに独自のデジタル通貨をブロックチェーン技術で運用することで、ある種の経済圏を作り出すこともできます。ここまで聞くと本当に現実社会に反映させたら世の中がまったく違ったものになりそうですね。

あまりにも現実とかけ離れていて、イメージが難しいと思われる方もいるでしょう。ところが、現実社会でも変化が起きつつあります。この3年にわたるコロナ禍で人々の生活習慣が大きく変化したこともあり、都会を離れて地方に生活の拠点を移す人が少なくありません。仕事はリモートワークで変わらずという人もいれば、農業などの一次産業に従事する人や、趣味を活かした事業を始める人もいます。昔から地方に生活拠点を移す人たちはいましたが、最近の傾向として共通しているのは、地域にしっかり関わり、地元の良さや仕事ぶりなど日々の生活をSNSで積極的に発信していることです。また、地元で同じような価値観の人たちで集まりコミュニティを作ることで、より地域性を重視した生き方を選ぶ人たちが増えています。実際、ナチュラル・ハーモニーの取引先や仲間の方々も、SNSを活用しながら地域のコミュニティを形成している方が多くいらっしゃいます。

> 続きはこちら 「いま分断を越えるとき」【後編】


大類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?


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