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野菜・果物

水に浮かぶトマト・沈むトマト 本物の野菜の見分け方④

2018.03.26

「水に浮かぶトマト」、「沈むトマト」をご存知ですか?

あらゆる生き物の成長は、細胞分裂を繰り返すことで一人前になっていきます。それはゆっくりと時間をかけて細胞を緻密にしていく過程です。こうした過程を経て育った作物はズシリとした存在感を示し、水に沈む傾向があるようです。

細胞の密度がギュッと詰まっているから沈むというわけです。つまりその違いは重さに表れるのですね。 緻密なきめの細かさが本来の野菜の姿といえます。

しかし肥料を入れ、水を必要以上に与え、すばやく栽培されたものは分裂の過程を急いでしまいます。だからひとつひとつの細胞が粗く、大きくなってしまうのです。その結果、空洞部分が多くなり、水に浮かんでしまうことになります。

どんな環境でも、野菜は応じるがままに育っていきます。野菜にとっての本来の土、本来の時期、本来の環境を整え、生育する本来のスピードを大切にする。野菜の生き方にかなう範囲で対応することが人の役割といえます。

それでは果物の場合はどうでしょうか? 分かりやすいのはみかんです。

みかんは小さくて、皮の薄いものを選びましょう。皮を見ればどんな風に作られたかがおおよそ分かります。よく皮がブヨブヨのものがありますよね。これは剥きやすくて便利ですが、実は肥料を入れて速成されているケースが多いのです。

このことを人間に置き換えると、 皮膚だけ肥大化して中の筋肉や臓器がついてこないことになります。そんなことがあれば異常事態です。

それでは肥料を入れない自然栽培のみかんはどうかというと、皮がとても剥きにくいのです。皮が実に張り付いているから、剥くまでに実を破ってしまうことも少なくありません。 肥料を入れると皮と実が偏って成長していきます。 肥料を入れないで育てたものは、皮と実の両方が同時に生育します。 濃厚な味で、重量は見た目よりもズシリとしています。

果実の生育は、 樹の生理、樹の勢いを考えた栽培をしているかどうかということが分かれ道になります。

除草をすること、樹に負荷をかける剪定、誤った常識、こうしたことを繰り返し農薬の使用を余儀なくし、作物の力を引き出しきれていなかったというのです。 肥料に頼らず、病気にも感染しない自然栽培のくだもの。 本来の食を取り戻すには、いのちをいただきますという言葉に込められているように、いのちの本来の様を知っていくことが何より大事だと思うのです。

 

自然栽培は、肥料・農薬に頼らないという作物の本来の姿に向き合う、未知の冒険であり、作物、そして食の本来の可能性を取り戻していく取り組みといえます。

土を肥料によって汚さない。それにより農薬を使わずに済むようになり、さらに土を汚さずに済むようになる。肥料を使わない清浄な土で生命力ある作物が育つ。そして生命力ある作物は、私たちの身体の健康を維持してくれる。本来の食を取り戻し、生産と流通と消費のそれぞれの現場に笑顔が生まれる。 

健康という言葉は健体康心といって、身体だけでなく心も大切であることがいわれます。本来のいのちをいただく食を取り戻しながらいのちに感謝する食生活は、私たちに笑顔を与えてくれるように思えてなりません。

肥料には、現状家畜のえさに使われる抗生物質の影響が心配されます。耐性菌の出現・産業廃棄物の混入など、さまざまなリスクが付きまといます。使えば使うほど複雑になるのです。肥料・農薬を使わなければ、地下水を汚すことなく、肥料・農薬を使う手間とコストが省けるのです。

自然にもっとも近い生業である農業を尊敬しています。 だからこそ、たった1%の面積からでも、自然栽培に取り組んでいただきたい! 農薬を使ってもっとも苦しんでいらっしゃるのは生産者の方々です。人々の生活の糧である食料を作ってくださるのも生産者の方々です。

本来の食を取り戻すためにも、私たちは八百屋として、一消費者として、農業が自然・土をはじめとする環境と生き物とに向き合うこと。本来の姿を取り戻すことを願ってやみません。

消費者である暮らし手と生産者であるつくり手、流通業者であるつなぎ手が三位一体となって、本来の食、自然に添った生活に望む。健体康心を育んでいくためにも、多くの方々とともにそんな実践ができれば幸いです。

○野菜の見分け方コラムは下記からご覧になれます。

野菜の見分け方①「枯れる野菜と腐る野菜?」
野菜の見分け方②「窒素過剰が虫と病気を呼ぶ」
野菜の見分け方③「緑の濃い野菜はキケン!?」
野菜の見分け方④「水に浮かぶトマト・沈むトマト」

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