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わ田や 渡邉真紀湖さん「日本の自然栽培綿の未来に繋がる衣服づくり」

2025.08.11

渡邉 真紀湖さん…わ田や合同会社代表。福島県福島市生まれ。オリジナルブランド「COROMO NATUREL」にて、選りすぐりの天然素材と優れた日本のものづくりの力を集め、安心で心地よく肌触りの良い繊維製品づくりをテーマに活動中。


「私は、単にデザイン優先のファッションを求めているのではなくて、素材を見極め、時代に沿った、人に役立つ良い物を作りたいと思っています」。

そう語るのは、今回ナチュラル・ハーモニーのオリジナルウエアを作製いただいた、「わ田や合同会社」の代表である渡邉真紀湖さん。その言葉には、渡邉さんの様々な過去の経験も通して真摯に衣類に向き合う姿勢が感じられます 。

渡邉さんは、もともと現在拠点となっている福島県の出身で、実家は兼業農家を営んでいました。若いときに東京に出てきてアパレルの仕事に就き、一から服の仕組みを学び、やがてデザイナーとして独立することになります。実はそのときから、その業界や周辺の社会環境が合理性優位で物事が動いていること に違和感があったそうです。そのように感じとる感性が、その後の渡邉さんの人生を大きく変えることにもなります。

デザイナーとして活動を始めてから、後に健康診断で見つかった病気治療のため、入院して手術を経験します。そのときも病院や医療のあり方に疑問と不信感を持ったことをきっかけに、食養生やマクロビオティックの世界に出会い、食のあり方から身体を見つめなおしたところ、体調が大きく快方に向かう経験をしました。

その頃から、携わっている衣類にも人に優しくナチュラルな素材を使うことを意識しはじめ、同時に原料の良し悪しだけでなく、染色の重要性も感じはじめます。いくらナチュラルが良いと言って、合成染料を避けるとしても生成り色だけでは、生きていく上で限界があり、無理があると感じました。そこで出会ったのが、ボタニカルダイ。ボタニカルダイとは、特殊な糊を使うことで、従来の草木染のような色を定着させるための薬剤を使用することなく、多くの天然染料を効率よく定着できるため、原料の無駄のない染色ができる技法です。

渡邉さんは、東京在住中に、実家から野菜を送ってもらっていたこともありましたが、そもそも福島県は、養蚕や絹織物、棉の栽培や綿織物が盛んに行われていました。特に会津地方では、会津木綿といった織物の伝統文化が古くから根付いており、何より日本の棉栽培の北限と言われており、昔から東北地方の繊維産業の要所でもありました。そのような土地柄もあり、あるとき父親に綿の栽培を頼んでみることにしました。

しかし、棉の栽培が始まり、当初は意外にも育ちは良く、栽培自体には問題がなさそうでしたが、それを安定して農業として継続させるには越えなくてはならないハードルがいくつも存在します。実際の栽培に使用した綿の品種には、収穫量が見込める洋綿の一種である、アップランド綿を選び、同時に将来的に栽培することも見据えて、地元に古くから伝わっていた会津在来種の綿を守る活動にも関わることになります。 栽培を始めて3年が過ぎたころにはブーケにして販売するなど工夫しながらの活動でしたが、事業として成立するには難しい状況が続きます。

そのような状態で5年目が過ぎようとしたとき、東日本大震災に見舞われます。多くの人々が生活の場を失いましたが、特に原発事故の影響は甚大で、避難のため農家が大切な土地を手放す選択を迫られました。渡邉さんのご両親も例外なく、その決断に迫られることになりましたが、ご両親は、その土地に残り農業を続ける決意をします。農家にとっては、放射線の影響から作物を作るにも大きな制約が生じることになります。幸い放射線検査を行った結果、育てた棉には、ほとんど影響がないことが分りました。

そして、ちょうどそのころから、福島県で自然発生的に棉を栽培しようという活動が盛んになります。渡邉さんも「コットンプロジェクト福島」を立ち上げ、幅広く棉の栽培を行うため、栽培してもらえる農家を探し、協力者を募りながら活動範囲を広げていくことになります。棉の栽培には、農薬や化学肥料を使用しない、できる限り環境に負担のかからない持続可能な栽培が必要とも考えていました。

しかし、最終的に収穫した綿を製品化するには、栽培だけでは完成しません。収穫から始まり、綿繰りといって種子を分ける作業、綿打ちという柔らかくほぐす作業、そして紡績といって糸を紡ぎ、さらに糸を織って布になります。その他にも染色などの様々な工程を経て製品になりますが、すでに国内では、携わる業者も極めて少なく、多くが分業となっていることから、それぞれの工程に関わる人々の全面的な協力が必要になりました。

そして、少しずつ協力の輪が広がることで、具体的に製品化へ向けて動き出すことになります。最初はみんなが気軽に使える靴下や手ぬぐい等の小物から作ることになり、原料には、オーガニック認証の綿に福島県で農薬を使わずに栽培された綿を10%程度配合した、オリジナルの糸を使用することになりました。

日本の綿の自給率は、統計上で商業的には、ほぼ0%です。もちろん綿に限らず、伝統的に繊維として利用されてきた植物は、ほとんど生産されていないのが現状です。つまり日本では、衣料品の原料の自給がほとんどできていないのです。また、それに伴って紡績などの製品化するために必要な工場も全国で数えるほどしか残っておらず、多くのメーカーが廃業するか、より人件費の安い東南アジアなどに拠点を移しています。そのため、日本で原料の栽培から製品化までを行うことは、多くの協力が必要になり、何より関わる人たちの良いもの作ろうという意思がなければ、完成することができません。

しかし、農業としての棉栽培も課題が多く、国内で栽培を続けることの意義は大きいものの現実的には、高齢化で引退する人も多く、収益性も低いため、野菜の栽培と両立して何とか続けているのが現実です 。さらに新規で就農する人もなく、経験者がいないため技術の継承も難しくなっています。また、農薬を使用しないため、雑草の処理にも手間がかかり、よほどその仕事に意味を見出す人でないと続きません。これらは、国の補助金や保護する取り組みがないと、続けることが極めて困難であることに変わりありません。

さて、このような中、様々な縁や出会いを経てナチュラル・ハーモニーのオリジナルウエアを渡邉さんに作製いただくことになりました。きっかけは、栃木県で自然栽培綿を栽培している松本かほるさん(下写真右)を、群馬県で自然栽培食材とライフスタイルのお店サンデールームのオーナー星野充子さんが、渡邉さんに紹介いただいたことでした。

今回原料として使用したのは、米国産オーガニックコットンと松本さん、渡邉さんの自然栽培綿を含めて55%(内3%が自然栽培綿)、中国産農薬不使用ヘンプが45%という割合で作製しました。全体量からすると自然栽培綿の割合が3%と少ない印象ですが、種子を含んだ原綿が50kg程度必要になることから、希少性の高い製品には違いありません。もちろん、製造工程で精錬の際などの薬剤による処理は一切なく、染色も行っていないため、綿とヘンプの繊維の色そのままの濃い生成り色になります。


コンセプトとして「日本の自然栽培綿の未来に繋がるカジュアルウェア」、希少ながらも普段から気軽に着られる衣類を目指しました。「五分袖Tシャツ」、「長袖Tシャツ」、「厚手の生地でフーディー」の3種類になります。徹底して着心地の良さを追求し、直接肌に触れた感覚は、生地がとても柔らかく、自然の優しさを感じることができます。また、着込んでいくと風合が変化して肌なじみが良くなるのも特徴です。

日本国内で栽培から製品化まで行うことの意味はもちろんですが、少しでも国産の自然栽培綿を使用し続けることで、作物としての良質な棉栽培や製造技術を守ることにつながります。

渡邉さんは、「衣類は人間の大切な機能である肌を助けるものであって欲しい、また肌触りや快適で気持ち良いと感じる感性に響くものであり、最終的には人間として衣類との関係性が、幸福や平和、そして調和のとれた役立つものでありたいのです。 」と語っています。

今回のオリジナルウエアの作製では、日本で栽培された自然栽培綿を使用して、紡績から最終的な製品化までをすべて国内で行いました。日本で流通する衣料品の全体量からすれば、微々たるものであるかもしれません。しかし、多くの人々の協力があって完成した、その意義はとても大きいと考えており 、少しでも多くの人々の感性に響くウエアを目指しました。


「日本の自然栽培綿の未来に繋がるカジュアルウェア」

栃木県と福島県で栽培された希少な自然栽培綿とオーガニックコットン、そしてヘンプを混紡したナチュラル・ハーモニーオリジナルウエアが完成しました。希少ながらも普段から気軽に着られる衣類を目指しました。


徹底して着心地の良さを追求したことで、直接肌に触れた感覚は、生地の柔らかさや自然の優しさを感じることができます。また身体の動きやすさも重視したことで、普段着として優れた着心地を実現。
製造工程中も化学的な糸の精錬やサイジング、また脱脂や漂白など一切の化学的な処理は行っておりません。コットンやヘンプ本来の保温性、強度、吸水性、放湿性を残したふっくらと柔らかい手触りに仕上がっています。また、染色も行っていないため、綿とヘンプの色そのままの濃い生成り色が特徴です。自然のままの着心地から軽やかさ、柔らかさ、優しさをぜひ体感してみてください。


自然栽培綿混ヘンプコットン 五分袖Tシャツ
自然栽培綿混ヘンプコットン 長袖Tシャツ
自然栽培綿混ヘンプコットン フーディー


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〈購入できる場所〉

■ナチュラル・ハーモニー ONLINE STORE
https://naturalharmony.store/

■ナチュラル&ハーモニック プランツ(直営店舗)
神奈川県横浜市都筑区中川中央1-25 ノースポートモール B2F
営業時間 11:00~20:00(年中無休、年始除く)
https://naturalharmony.co.jp/plants/

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