カテゴリーを見る

ライフジャーナル(大類久隆)

デンマークの生き方に学ぶ

2024.06.01

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
今回は、デンマークから学ぶ自然と調和した暮らしについてお伝えします。


デンマークの生き方に学ぶ

先駆的エコビレッジのあり方
幸せの尺度とは?

時代の先を行くデンマーク

世界幸福度ランキングでは常に上位であり、市民の生活満足度も世界最高クラスの国デンマーク。九州と同じくらいの国土で、人口が580万人前後と決して大きな国ではないですが、国民同士が生き方の多様性を認め、持続可能な生活を実践している姿勢には、学ぶところが大きいと思います。
今回は、デンマークと代表的なエコビレッジの紹介をあわせて、その生き方のヒントとなるポイントを書いてみたいと思います。

デンマークはスカンジナビア半島の下に位置しており、スウェーデンやノルウェー、フィンランドと並ぶ北欧を代表する国家です。おそらく多くの人が、高福祉高負担国家であり治安が良くて、素朴なイメージとは逆にグローバル化とデジタル化が進んだ、比較的所得の高い国という印象を持っているのではないでしょうか。
デンマークはかつて、1970年代のオイルショックまではエネルギー消費の9割以上を石油に依存していた、欧州でも化石燃料の依存度が高い国でした。それ以降石油に依存しない道を模索することになったのは、日本と状況が似ていましたが、その後デンマークはまったく違う道のりを歩むことになります。具体的には、原発を使わないことを国会で決議して、再生可能エネルギー、とりわけ風力発電に注力するようになったのです。
いまデンマークでは、再生可能エネルギーが発電量に占める割合は8割以上と世界でも際立って高く、2030年までにはこれを100%にするとしています。



エコビレッジが大切にしていること

さて、デンマークにはエコビレッジと呼ばれるコミュニティが多く存在します。持続可能な社会を目指したコミュニティの活動の歴史は世界でも古く、全国にはすでに100近くのコミュニティが存在しています。その中でも歴史のある「Sættedammen(サッテダムメン)」というコミュニティを紹介します。

1969年から始まったSættedammenは、デンマークの首都コペンハーゲンから南へおよそ30キロのところに位置しています。このエコビレッジは、持続可能な生活を実践する約70のメンバーで構成されており、27軒の家に住んでいますが、所有形態として持ち家・賃貸・シェアハウスが混在する形になっています。
そのエコビレッジで特に大切にしている四つの特徴を挙げてみます。
まず一つ目は、最も大切にしている「自然との調和」です。美しい自然環境の中で住民は自然と調和した生活を大切にしていて、持続可能な農業や自然保護活動にも参加しています。二つ目は「共同生活」です。住民同士が協力し合い、共同の食事や家事、さらには子育てなども協力して行われています。三つ目は「特産品の活用」です。地元の農産物や手工芸品など、地域の資源を活用した生活が行われていて、地域の特産品を積極的に利用し、地域経済の活性化に貢献しています。最後に四つ目は「教育と啓発活動」です。持続可能な生活に関する知識や技術を広めるため、定期的にワークショップやセミナーが開催されています。地域の住民や外部からの参加者が幅広く集まり、持続可能な生活について学ぶことができます。



心の豊かさを重視した暮らし

デンマークの多くのエコビレッジでは、ミニマリズムの考え方が取り入れられています。物質的な豊かさよりも、心の豊かさを重視し、必要最小限のもので生活することが奨励されています。最近は日本でもミニマリズムの考え方を取り入れて、無駄を省いたシンプルな生活を送ることを実践している人も多いようです。物に執着しない新たな価値観を大切にすることで、より充実した生き方を探っているのですね。

今回はデンマークのエコビレッジを紹介しましたが、生活感をお伝えするには文章だけでは難しいかもしれません。ただ、人の生き方や価値観はそれぞれであり、その多様性を認め合って生活できることが理想だと思います。もちろんデンマークの人たちの生き方や価値観が、そのまま日本に当てはまるとは思いません。幸せの尺度や定義も人それぞれであり、それだけに共同生活の難しさもあるとは思います。それでも自然と調和した持続可能な社会や共同体の中で生活したいと思う人は、デンマークの人たちが長い歴史の中で実践してきた生き方に倣うことが大きいのではないでしょうか。




■参考資料:
・Bofællesskab.dk 
・Forbes「デンマーク的エコビレッジ生活のススメ」
・business insider「デンマークはなぜ化石燃料依存から『再エネ8割』へ変身できたのか」他


文:類 久隆
ナチュラル・ハーモニーの商品部担当。
とにかく何でも調べるのが大好きです。
自称、社内一の食品オタク。
食べることも忘れて日夜奮闘中……?

> ライフジャーナル(大類久隆) 記事一覧


> ナチュラル・ハーモニー ONLINE STORE

> ナチュラル&ハーモニック プランツ(直営店舗/横浜センター北)

  • twitter
  • facebook

つむぎonlineトップへ

新着記事

new articles

随時更新中!