ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。
現代の日本の食生活には、パスタやパン、ケーキにお菓子、カレーのルーなど、小麦を使った食品が溢れています。今回はそんな身近な食材「小麦」について考えてみたいと思います。

悪者ははたして小麦なのか?
素材の良さを見極めよう!
最近の米不足で、パンや麺を食べる機会が増えた人も多いと思いますが、支出額ベースでは、実はすでに日本の主食の座は、米ではなく小麦に入れ替わっています。1963〜65年平均の米、パン、麺の割合は、それぞれ83%、9%、8%だったものが、2022〜24年平均の29%、44%、27%へと大きく変化しています。この数十年で食生活や生活スタイルも大きく様変わりして、それに伴って食物アレルギーの人も増えています。中でも小麦アレルギーの人も一定数いることから、小麦を含む食品を避ける人も多く、また最近では、小麦アレルギーではなくても体調を崩す原因になるという情報の影響もあり、小麦主体の食生活をできるだけ控えるという人もいるようです。では、果たして小麦は「悪者」なのでしょうか。今回は、すべての小麦を避けるべきである、という情報の根拠を挙げながら、私自身の思うところを書いていきます。

まず、そもそも小麦自体が日本人の体質に合わないという説があります。日本は戦後の食糧不足のとき、食糧政策で米国から小麦が輸入されはじめ、そこから輸入量が急増したのは確かで、日本の食生活が大きく変わり始めたのもこの頃です。それまで主食が米であったのは間違いなく、前述の通り数十年かけて米食主体から麦食主体に移っていきました。
では、それまで日本人は小麦を食べていなかったのでしょうか?実は日本の小麦栽培の歴史は古く、弥生時代にはすでに栽培が行われており、米や雑穀などと合わせて主食としてきたようです。そのため、小麦が日本人の体質に合わないという説は、栽培の歴史から見ると根拠が乏しく感じます。
体質に合わない理由として、日本人には小麦に含まれるグルテンを消化する酵素の活性が欧米人と比べて低いことや、「グルテン不耐症」という、体が小麦に過敏に反応し様々な体調不良を引き起こす可能性が高いことが挙げられています。確かに小麦アレルギーやグルテン不耐性の人たちは少なからず存在するので、そのような人たちが小麦やグルテンを避ける理由はあるのですが、最近はそうではない人でも、体調の改善や生活習慣病の軽減を目的とした、健康維持またはダイエットで行っている場合が多いようです。

本当に小麦が悪者か?
最初は、アレルギーやグルテン不耐性の人たちの除去食として始まったものが、ある種の健康法として広まっている傾向があり、目的がすり替わってしまったのではないかと思います。もちろん、小麦を控えることで、食べ合わせている特定の食材も一緒に控えることになり、体質が変化することや一時的に体調が改善する可能性はあります。ただし、小麦を避けることを意識しすぎて基本的な食のバランスを崩してしまうことや、グルテンフリーとして販売されている商品で、添加物を多く使用しているものもある点には注意が必要だと思います。
また基本的な問題として、日本に流通している小麦の85%が輸入であることから、残留農薬の問題が避けられません。多くが除草剤や、ポストハーベスト農薬という収穫後の保管中や輸送中に散布された農薬によるものです。基準値内であっても、北米産の小麦の100%近くから検出される検査結果があります。それを踏まえると、数十年にわたり急激に増えた輸入小麦による健康的弊害が考えられ、小麦の基本的な成分に由来するリスクよりも化学物質によるリスクが大きいと考えられないでしょうか。

良い小麦粉の条件とは
さて、本来良質な小麦とは何でしょうか。もちろん品種による違いや用途によっても違いがあるため、単純な比較は難しいですが、栽培方法の安全性は当たり前としても、やはり最終的には美味しさにあると考えています。
おそらく多くの人が、一般的な小麦粉に美味しさを感じるという経験が少ないのではないかと思います。その理由は、流通している小麦粉の製粉の方法にあります。小麦の構造は外皮、胚乳、胚芽の三つの部分から成り立っていますが、通常は多くを占める胚乳部分を粉にします。その部位により特等級、一等級、二等級、三等級などと分けられており、主にたんぱく質の含有量や灰分が少ない中心部に近いほど、色が白く等級が高くなります。つまり一般的な小麦粉の基準では、小麦粒の中心部を挽くことで良質な小麦粉としているのですが、実は小麦特有の香りや味を感じる部位は、より外皮に近い部分のたんぱく質や灰分に含まれていることが多いのです。
一方で、ナチュラル・ハーモニーが取り扱っている小麦粉や小麦粉を使った加工品には、等級分けをしない、できるだけ外皮に近い部位まで製粉した粉を使用しています。そのため、見た目は灰色に近いくすんだ色をしていますが、小麦特有の香りや深い味わいが感じられます。
近年、食生活から遠ざける人も多い小麦ですが、既存の情報にとらわれずに、良質な小麦の味を体感していただけたらと思います。
■参考資料:
・本川 裕著「統計で問い直す はずれ値だらけの日本人」
・農林水産省「食料自給率データ一式」「輸入米麦の残留農薬等の分析結果」
new articles