宅配より
2019.08.25
こんにちは。
ナチュラル・ハーモニーの宅配 石川です。
今回の記事は、
【スタッフブログ】音楽から紐解く自然との調和①
↑のつづきとなります。
今回は音楽を聴く時にこれを知ってると更に奥深く
聞けるようになる、音楽の持つ要素などについてお伝え
してまいりたいと思います。
音楽の持つ要素については文章だけでは分かりにくい
ところもあると思うので、実際に演奏してみました。
一応文章だけでも分かるようにしたつもりですが、
もし音が聴ける環境であれば、聞いてみるとより
分かりやすいと思います。
○音楽を構成する3つの要素
①リズム
まず1つ目はリズムです。
リズムを文字で説明するのは難しいですが、
感覚的になんとなく分かる方も多いと思います。
「タン・タン・タン・タン」といった規則的なものや、
「ターン・ターン」と長く間を取ったものもありますし、
「タッタッタッタッタッタ」細かく区切ったりもします。
またはこういった要素を組み合わせて複雑な
リズムをつくることも可能です。
誰もがご存知の「こいのぼり」という童謡の、
「屋根より高いこいのぼり」という部分のリズムを
「タ」で表現すると、
「タタ・タン・タン・タン・タン・タン」
(やね・よー・りー・たー・かー・いー)
「タタ・タン・タタ・タン」
(こい・のー・ぼお・りー)
という感じになりますよね。
ざっくりいうとこれがリズムです。
今回カホンという楽器でこいのぼりの
リズムを叩いてみました。
一件ただの箱に見えますが、
裏を見ると……、
実は穴が開いています。
箱の中で反響した音がそこから出てくるので
けっこう大きな音が鳴ります。
このカホンは島○楽器で3000円くらいで売っていた
段ボールで出来たカホンなのですが(普通木で出来てます)
けっこういい音だったので買ってみました。
カホンや太鼓などといった打楽器はリズム楽器と呼ばれます。
演奏はこちら↓
最初はそのままこいのぼりのリズムで叩いて、
2回目は音を足したり、リズムを複雑にしたりしてみました。
リズムは音楽を構成する要素の中で
最も根源的で原始的なものといえると思います。
この要素だけはたとえ耳が聞こえなくても
感じ取ることが出来ます。
赤ちゃんを抱っこしてゆっくりポンポンと背中を叩けば、
そのゆったりとしたリズムを感じて安心することでしょう。
逆に早い間隔で、かつ不規則な点滅を繰り返す
光などを見た時には焦燥感を覚えると思います。
日常生活を送る中でも今自分がどのようなリズムを
感じているかを意識することはとても重要です。
焦っている時のゆっくりとした深呼吸は
気分を落ち着けるのと同時に体や鼓動、思考のリズムが
速くなってしまっているのを正常に戻す効果もあります。
②メロディー
メロディーは「リズム」+「音の高さ」を組み合わせたものです。
例えば有名な「きらきらぼし」という楽曲の冒頭は、
「ドドソソララソ」という音階になっていますが、
「ドードーソーソーラーラーソー」と普通に歌うのと、
「ドード・ソーソ・ラーラ・ソー」とリズムを変えて
歌うのとでは感じ方が変わります。
さらに「ドーレーミーファーソーラーシー」と音の高さが
変わってしまえばリズムが完璧に同じでも全く違う曲に
なってしまいますね。
時間と共に音の高さ(音程)や長さ(リズム)が
変わっていくことをメロディーといいます。
きらきらぼしもリコーダーで演奏してみました。
最初は普通に、そのあとにメロディーを変えて吹いてみました↓
こんな感じにメロディーやリズム、
あるいはハーモニーを変えて、
元の感じを残しつつも曲を書き換える事を、
編曲(へんきょく)といいます。
(英語ではアレンジといいます)
今回はこいのぼりもきらきらぼしも作曲者は不明で、
私が自分で編曲した曲なので、著作権は大丈夫です。
ものすごく久しぶりにリコーダーを吹きましたが、
思いのほか良い音出すのは、かなり難しかったです。
でも、カホンやリコーダーといった単純な楽器でも
自分で演奏すると、やっぱり良いなぁと思います。
③ハーモニー
ハーモニーは前回も出てきましたね。
忘れてしまった方は前回の記事の最後の方をお読みください。
正確にはメロディー(時間と共に変化する要素)も
関わってきますが、とりあえず2つ以上の音を重ねた時の
響きである「和音」の事をハーモニーと思えばいいと思います。
一番簡単に思い浮かぶのは「ドミソ~」だと思います。
これは誰でもなんとなく想像できる綺麗なハーモニー
なのではないでしょうか。
しかし現代では誰が聴いてもきれいに思える
この音の重なりは、中世以前のヨーロッパでは
不協和音としてとらえられていました。
○協和音と不協和音
ちょっと難しいかもしれませんが和音について解説します。
まず音程(ドとかレとか)は
空気が1秒間に何回震えるかで決まります。
ピアノの真ん中あたりのドの音が鳴ると、1秒間に大体
「260回」ほど空気を震わせます(単位はヘルツ[Hz])。
そしてミは「330回」ほど、ソは「390回」くらいです。
「260:330:390」は大体「1:1.25:1.5」で、
整数に直すと「4:5:6」になります。
この同時に鳴っている音の振動数の比率が単純であれば
あるほど音が溶け合って(美しく)聞こえます。
「4:5:6」 といったようにある程度単純な
比率で重なった音の事を協和音と呼びます。
今回協和音のみで、和声学のルールを厳密に
守った単純な短い曲をつくりました。
ピアノで演奏しました↓
ちなみにこの曲は4声(ソプラノ・アルト・テノール・バス)で
構成されていますが、バス(一番低い音)をよく聞くと
「ドレミファソラシドードードー」というメロディーになっています。
有名なモーツァルトやベートーベンなども
このようなハーモニーを使って作曲していました。
むしろベートーベンなどの作曲家の楽譜を分析して
ハーモニーのルールが出来たといった方がいいです。
この曲を聴いてみるとかなり美しいハーモニーであると
感じられるかと思います。
しかしベートーベンよりもっともっと前の
中世ヨーロッパの方たちにとって、
この協和音は美しく感じられませんでした。
中世ヨーロッパの人たちにはどうやら
「ド:ミ」=「1:1.25」が結構濁って聞こえたようです。
確かに数字の比率を見てもちょっと濁ってそうな
気がしなくもありません。
一方「ド:ソ」=「1:1.5」は整数に直さなくても
比率が単純な感じでなんとなくきれいに音が
重なりそうな感じがしませんか?
実際このくらいに単純な比率だとかなりきれいに
音が溶け合います。むしろ溶け合いすぎて
現代人が聴くときれいというよりも
空虚にさえ聞こえます。
このようにとても単純な比率で重なった、
ほぼ完ぺきに溶け合って聞こえる音を
完全協和音と呼びます。
こちらもあえて完全協和音のみを使い、
しかも中世によく使われていた教会旋法(ドリア旋法)という、
いわゆるドレミファソラシドとは違う、中世の雰囲気を持った
曲をつくってみました。
どうでしょうか?
空虚でありながらもどこか神聖さの
漂うハーモニーが感じられると思います。
中世の音楽家たちはこのような音の重なりに
神を感じていたのだと思います。
曲名をつけるとしたらシンプルに「祈り」でしょうか。
こちらの曲は今回私が1から作曲したものですが、
英語では作曲をコンポーズ(compose)といいます。
本来は「組み立てる」、あるいは「構成する」という
意味を持ちます。
こういった古典的な曲は、ルールを守って破たん
しないように、パーツをはめ込んで行くようなつくり方に
なるので「言いえて妙だなあ」と思います(とても大変)。
ちなみに隣り合ったドとレの比率は、
約「260:290」で、整数に直しても「26:29」です。
どう頑張ってもこれ以上割り切れません。
比率を見ても分かるとおり、一緒に鳴ると
かなり濁った不快な音になります。
こういった音の重なりを不協和音といいます。
○天使の声
中世以前より、合唱曲をみんなで歌っているときに、
自分たちが歌っている音よりも明らかに高い音が
聞こえるという事に気づいている人がたくさんいました。
この音は天使の声と呼ばれ神秘的に語られていました。
現在ではこの天使の声は自然がもたらす論理的な
現象として解明されています。
この現象の名を倍音(ばいおん)といいます。
倍音の理論はとある数学者によって1636年に
発見されました。もちろん数式もありますが、
あまりにも難解なのでここには書きません。
倍音がどういったものかといいますと、
どんな音でもいいので何か音を鳴らすと、
それが鳴ると同時に、その2倍高い音が
わずかに発生します。
この何故か発生した音の事を倍音といいます。
ちなみにドの音の2倍高い音は、
これが元のド→ドレミファソラシド←このドです。
※元のドが「260(Hz)」の場合、
次のドは倍の「260×2 = 520(Hz)」になります。
「ドレミファ……」とどんどん音が高くなっていって
出てきた次の同じ音をオクターブといいます。
さらに実はオクターブ上(2倍上)の音以外にも、
3倍高い音(ソ)、4倍高い音(またド)、5倍高い音(ミ)、……と、
音が発生し、理論上はこれが限りなく続いていきます。
更に発生した倍音の倍音も、もちろん発生します。
つまり、音を一つ鳴らすだけで、
そこに無限のハーモニーが生まれるという事です。
数式が発見される前の天使の声も十分神秘的な現象でしたが、
理論が解明されると、もはや「神(自然)が起こした奇跡」
とすら思えてしまいます。
もちろん実際には音は徐々に消えていくし、
発生する倍音の大きさはとても小さいので、
無限にハーモニーが続いていくということはありません。
しかしこの現象を少しでも長く続かせようと人々が
試みた結果が、音が響き続ける空間である教会や、
現代のコンサートホールです。
また出来るだけ大きく、かつ美しい音を発生させようと
生み出されたものがバイオリンやピアノといった楽器です。
今回は以上です。
次回は楽器の音色がなぜ違うのか、
CDや電子楽器などの機械が出す人工的(不自然)な音と
実際の生の楽器から出る自然な音との違いなどを書かせて
いただきたいと思います。
ナチュラル・ハーモニーの宅配 お客様サポート 石川 裕貴
<前に戻る 次に進む>