宅配より
2020.11.29
みなさん、こんにちは。
ナチュラル・ハーモニー総務・経理担当の村瀬です。
先週末、初めて御嶽山に行ってきました!
といっても山登りではなく、前回のブログで軽くご紹介した
「土中環境」の著者、高田宏臣さんが主宰される
NPO法人地球守が協力する「御嶽山再生ツアープロジェクト」の
ワークショップに参加することが目的です。
https://chikyumori.org/2020/11/04/2/
当日は御嶽山の四合目、標高1,400mにあるスキー場跡地を
30名超の参加者が高田さん先導で歩きながら、ここは手を
入れたいというポイントで高田さんの解説が始まり、
話しながらその場で手を入れつつ、進んでいきました。
高田さんは話し始めると、伝えたいことが一杯あるせいか
中々話が止まらず、たまにスタッフの方から
「次にいきましょう!!」って急かされてました(笑)。
熱い方です!
こんな雰囲気の、熊さんのような方です。クマさんが
守ってきた森をお守りするお手伝いをしたいと思われる程、
純粋で熱い思いをもった方です!
山道を少し登り平原のような場所を過ぎると、きれいな
水の流れる小川が目の前に現れました。
「表面の艶、泡の切れかたはよくてきれいな水だけど、
イマイチ。もっとキラキラしてて、石にぬめりがつかないのが、
本当にいい水。」と高田さん。
「じゃ、ここで川遊びをしていこう!」という掛け声から
いよいよ環境改善に向けての作業が始まります。
まずは、川岸の土がむき出しになって張り出しているところを、
大雨が降っても土が流れてしまわずに、常に土の中を水が通り
十分に浄化された水が川を流れるように造作をする。
この真ん中のところが、こんな風に石積みに。
土をいい具合に削り、石同士が安定して組み合わされて、
しかも隙間が適度に空くような石積みのやりかた。
その石の間には、小枝や落ち葉・藁などを敷き詰め、
空気が通り、山の中を流れてきた水がゆっくり
その中を浸みわたっていく。枝や落ち葉・藁には
菌糸が伸びて有機物が少しずつ醗酵し、土に還っていく。
出典:「土中環境」(高田宏臣著、建築資料研究社、2020年)
コンクリートでかためる護岸工事の前の、自然に寄り添った造作です。
ときを経て、苔むして、こんないい塩梅になるのかもしれません。
「造作」という言葉。
普段使わないしあまり聞かないのですが、高田さんの
口からは頻繁に出てきます。
「楽しんでやらないと単なる作業になってしまう。やりながら
もう少しここをこうしたいと感じたら、そうする。それで
仕上がりが全く変わってくる。美しい出来栄えの仕事。それが造作。
自然は美しく、造作も美しいもの」と。
「土中環境」には、日本人が長い営みの中で培ってきた
かつての自然認識や造作、土や水への認識とその基にあるものが、
写真をふんだんに使い、論理的ながらとても分かりやすく、
また大切なことが惜しみなく綴られており、
水や土、そして菌などに関心のある人には大変参考になる
良書だと思います。目から鱗の連続です!
その中でも印象に残ったのが川と土の関係。
川の水は上流から流れながら、土に潜り込み伏流水となり、
土の中を通りながら湧き出し川になる。その繰り返しで
キラキラとした透明度の高い川になり海に注いでいく。
こんなイメージです。
出典:「土中環境」(高田宏臣著、建築資料研究社、2020年)
伏流水は川を流れている水量の数千倍になることもあるのだそう!
森と海を繋ぐ川が、キラキラと輝くほど透明で健全な状態になれば、
とてもよい水の循環が保たれ、鉄砲水や土砂崩れなどの
水に纏わる災害も減るのではないでしょうか。
ナチュラル・ハーモニー 村瀬 義徳