松本 一宏さん | ナチュラルハーモニーの宅配
 

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生産者紹介

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競争ではなく役割が生まれる地域を目指して 競争ではなく役割が生まれる地域を目指して

#03 福岡県朝倉市松本 一宏さん

競争ではなく役割が生まれる地域を目指して

「台風でなびきましたけど、なんとかがんばってくれましたね」。松本一宏さんの田んぼでは、やや傾いたササニシキが黄金色の穂を揺らしていた。東北で栽培されることが多いササニシキだが、松本さんはこの品種を福岡で栽培している。
「種をいただくご縁があって栽培を始めたんですけど、最初は最悪でしたよ」。東北よりも温暖な気候の影響でササニシキの茎は長く生長し、秋になると毎年のように倒れていたという。それでも、種は採り続けなければと栽培を続け、ようやく倒れなくなったのは5 年目からだった。
「最初に比べて茎が短くなりましたね。種も少しずつ九州の気候に馴染んできてくれたのかな」

 心を捨ててモノを手に入れた一生それでいいのか

気象変動のなかの米づくり

「九州は毎年のように何かがありますね。土の未熟さもあるんだろうけど、やはり振り回されます」。どの時期に何の作業が必要かではなく、自然を観察して順応しながらその時できる行程を考えることが近年の九州では求められていると話す。「でも、ほんとに順応って難しいです」。頭では理解しているつもりでも、手をかけた作物が台無しになると心の整理がつかないこともある。経営への打撃も深刻な問題だ。
「 ササニシキは倒れなくなりましたけど、地域で昔ながらに育てられてきた米ってなんだろうとも考えますね。これだけ天候にも悩まされるので、より原種に近い品種を育てることも検討しています。昔のお米だから品種名は商品に表記できないと思うけど、現代の販売にフィットしないお米を育てるという意味合いもお客様には理解いただけるといいですね」

失われる農家魂

  少しずつ栽培が上向きになってきた田んぼを見て、地域の生産者の見る目も以前とは変わってきたという。「『きれいな田んぼだな』とか言ってもらえるようになりましたね。『肥料と農薬はなにふってんだ?』とも聞かれますよ(笑)。当然何もやってませんて答えるんですけど」。タイミングをみて自然栽培の説明をするものの、「冒険」と捉えられるという。
「『収量が安定しないし販路も探さないといけない。跡継ぎもいないし、農業はうちらの代で終わるしかない』。そう言われるとそれ以上は何も言えません。それでも昔の米づくりの話をすると顔が活き活きするんですよ。何歳になっても作物に夢中、それが農家魂なんですね。地域で自然栽培が増えないのは、自分の力不足でもあります。自分にできることは、淡々と継続していく姿をみせていくことだと思っています」

2011年の震災―この土地に根を張ろう

就農して3年目まで病気が絶えなかった。さつまいもが全く育たなかったり、大根が虫に食われたり、空豆がアブラムシで全滅したりもした。

ご縁が生む競争のない地域

 英会話スクールで働く従姉に頼まれ、田んぼに教室の子どもたちを呼んだ時のことだった。「お米はこうやってできるんだぞってところを説明してたんですけど、姉が驚いたのは自然のなかで遊ぶ子どもたちの活き活きとした表情だったみたいです。最初は虫を触るのも嫌がっていた子どもたちが、田んぼで時間を過ごすうちにカエルと遊ぶようになってました。それを見て姉も『もう教壇で英語教えるだけじゃダメね』って」。
 人が教えなくても自然や環境が教えてくれる。農業が身近ではなくなった現代で、多くの子どもたちは命をつなぐという事を知らないまま育っている。そう感じた松本さんは、今後人が農地と触れ合う場作りもしていきたいと考えるようになった。

「きっと食べ物の生産現場だけに言えることじゃないですね。理想は、本来の衣食住が地域で完結していて、環境から自然に学べるような場があることだと思います。自分は農家ですが、ジャンルを問わず共感する人たちが集まれば影響力が大きい。放棄地では、別に米を作らなくても衣服のための作物を育ててもいいし、花畑にしてもいいんです。いろんな人が考えれば、きっと空いている土地の見方も変わってくると思います」
 誰かが先頭に立つわけではなく、自然に広がっていくのが普及の理想だと松本さんは語る。互いの立場で知恵を生かしながら、競争ではなく役割が生まれるような地域の形。それはかつて当たり前のようにあった姿かもしれない。
「 自分ひとりじゃできないことやぼんやりしていることも、いろんなご縁を経ると道筋と答えが生まれるのだろうと楽しみにしています。きっと難しいことじゃない。ただ原点に戻りましょうってことですよね。各地にそういう環境ができることを目指しながら、日々の一つひとつの仕事を大切に取り組んでいきたいと思います」

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