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野菜・果物

枯れる野菜と腐る野菜? 本物の野菜の見分け方①

2018.03.26

私たちが肥料・農薬をつかわない「自然栽培」の野菜をお薦めする理由を数回に分けてお伝えしていこうと思います。1回目は「肥料」に焦点を当てます。

枯れる野菜と腐る野菜。この分かれ目は何でしょう。野菜が腐る大きな原因のひとつは肥料にあり、野山の草木が腐っていくことはありません。植物は本来枯れるものなのです。

冷蔵庫の中で野菜が「腐る」。誰もが経験したことがあると思います。野菜が腐るのは仕方がないことだと思っていませんか? でも考えれみればおかしなことです。山や野原がドロドロと溶けている姿を見たことがあるでしょうか。植物が「腐る」のは、自然界ではありえない現象なのです。

植物である以上は「枯れていく」。これが本来の姿です。自然の植物は「枯れる」のに、買ってきた野菜はなぜ「腐る」のか? 違和感を覚えます。

その原因を探ってみると……「肥料を入れる」ことに問題がある場合が多いのです。誰もが作物を育てるには、肥料が必要だと思っています。しかしこの常識にとらわれず野や山に目を移してみると、自然界と相反していることに気付きます。野や山のどこにも肥料は使われていません。

野山でも動物や虫の糞尿は土に入りますが、特定の一ヶ所だけに集中して大量に入ることはありません。単位面積あたりの量が自然界と肥料を使う田畑とは比較になりません。

 「落ち葉が肥料では?」という声もありそうですね。でも、落ち葉は肥料というより「自然の循環」といったほうが無理のないように思えます。落ち葉そのものには肥料になるような成分はほとんど含まれていません。落ち葉は、土の保湿・保温、もしくは新たな土を作るためのものと言えそうです。野山の植物は、チッ素・リン酸・カリを補わなくても育っている。どうやら自然界の植物たちは、肥料を施されなくても栄養失調にもならずに逞しい姿を見せてくれることに改めて気付かされます。

つまりチッ素・リン酸・カリ以外の、自然界のなんらかの仕組みによって育っているということが考えられるのです。

「枯れる」と「腐る」の違いは、肥料で育てた野菜か。土や自然界の仕組みが育てた野菜か。尽きるところ、この違いとも言えそうです。

また、肥料を入れない栽培でも野菜が腐る場合もあります。それは、過去使った肥料や農薬が土に多く残っている場合。または適期に野菜を育てられていない場合にも起こることがあります。また、作物の生理に反した収穫・保存・流通をした場合にも腐る場合があります。

「枯れる野菜」と「腐る野菜」、どちらの野菜を食べたいですか? 直感的に、枯れていくほうがいいと多くの人が思うでしょう。自然のリズムに反することが作物のバランスを崩してしまっている=腐敗につながる。そこには肥料が大きな原因であると私たちは仮説をたてています。そして肥料の質によって、作物の状態も変わってくる場合があります。

動物性の家畜糞尿を豊富に含んだ肥料を使えば腐りやすく、植物性のものだけなら枯れやすくなる。こうした場合もあります。どうしてそうなるのか。それは「土」への理解を深めることで分かってくるのです。

植物が枯れて大地に落ちる。そこに雨などの水分が加わる。さらに地熱や太陽光線といった熱が注がれる。ここにバクテリアなどの微生物が働くことで植物の腐植は進んでいきます。これを繰り返し、膨大な年月をかけてようやく土になっていく。自然界は表土1センチの土を作るのに100年~150年もの時間がかかるといわれます。人や動物など、あらゆる生き物は土に還っていきますが、主成分はあくまで植物。だから肥料を使うなら、植物性肥料を使った方が自然に添っている。そのように考えることができます。

 次に田畑に使われる「肥料の量」ですが、一般にはたくさん与えるほどたくさん収穫できると考えられています。栄養が多いことは良いことという思いのもと、一反(300坪)の畑に何トン、何十トンもの肥料が投入されるケースも少なくないのです。生き物の本質は「不足には強いが過剰には弱い」といわれますが、肥料の過剰投入は作物の品質を下げる要因にも繋がります。

また「肥料の熟成期間」が短いと、虫や病気を呼び込み腐りやすい作物になりやすくなります。肥料の熟成については「完熟堆肥」という言葉が使われますが、明確な定義はありません。諸説あって何ともいえませんが、目安は「5年程度」。とにかく時間をかけて寝かせたものでない限り、使用をしてはならない。このことが基本となります。でも実際は3ヶ月から半年程度の未熟な状態で、田畑に投入されるケースも少なくありません。また場合によっては、そのままの糞尿を田畑に投入することも実際にはあります。その結果、作られた野菜は虫や病気などに見舞われやすくなります。肥料を使うなら使うで、慎重に取り扱わなければならないというわけです。

このように、野菜を見極めるポイントはさまざまです。買う側が積極的に栽培に使われた肥料の情報を求める姿勢が不可欠になります。残念なことに、使われた肥料の中身を明示しているところはほとんどないのが現状です。肥料を誤った方法で使うことは、農薬同様に危険な側面もあります。家畜の糞尿などの排泄物が大量に入れば、土中の微生物のバランスが崩れてしまいます。また現在の家畜の糞尿はホルモン剤や抗生物質などの薬剤が混入している場合がほとんど。おのずとその成分を野菜が吸ってしまうことに繫がります。

 また飼料を肥料として使う場合もあります。海外の穀物は遺伝子操作の可能性もあります。それらを土に入れ、そこから採れたお米や野菜を私たちが食べる「無農薬だから安全」と無条件に決めるのは無理があります。

たとえどんなものであっても肥料の「質と量」、そして肥料の熟成に要した「時間」。これらを誤れば、それ相応の結果が導かれてしまいます。これらが、私たちが「肥料をつかわない」自然栽培をお薦めしている理由です。

自然界の草や木に肥料や農薬が使われません。いつだって無農薬・無肥料。自然な野菜とは何か? その答えを自然界が教えてくれているのです。

食べものを選ぶ際は、「自然に添っているか否か」このことを基準に判断する必要があります。それにはまず、自然を知る必要があります。 

次回は「窒素過剰が虫と病気を呼ぶ」です。

○野菜の見分け方コラムは下記からご覧になれます。

野菜の見分け方①「枯れる野菜と腐る野菜?」
野菜の見分け方②「窒素過剰が虫と病気を呼ぶ」
野菜の見分け方③「緑の濃い野菜はキケン!?」
野菜の見分け方④「水に浮かぶトマト・沈むトマト」

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