ライフジャーナル「MINAMATAに想うこと」 | ナチュラル・ハーモニー
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きほん情報

暮らしのことライフジャーナル(大類久隆)

ライフジャーナル「MINAMATAに想うこと」

2022.07.5

ハーモニックライフ(調和する生き方)という観点から、ナチュラル・ハーモニーの商品部スタッフ、大類(おおるい)が世の中について考察するライフジャーナル。

今回は、水俣病から見る世界の仕組みについて考えてみました。




「MINAMATAに想うこと」

~ひとつの公害から世界を見る仕組みから考えることの大切さ~


映画「MINAMATA」が2021年9月に日本で公開されましたが、恐らくほとんどの方が、この映画が水俣病についてのストーリーであることに気が付かれたと思います。それほど水俣という地名が水俣病と切り離せない地名となっています。またタイトルが大文字で示されているところから、この事件にとても象徴的な意味を持たせようとしているのが伺えます。この映画はアメリカの写真家、ユージン・スミスと元妻のアイリーンさんが出版した写真集『MINAMATA』を基にした作品になります。

2人が当時の水俣に滞在して水俣病に苦しむ患者や原因となった企業チッソとの闘争を描いています。内容は若干の脚色があるものの、基本的には事実に基づいており、当時の多くの患者の姿やチッソとの関係性で葛藤する地元住民の姿をかなり克明に描いています。主人公のユージン役をハリウッド俳優のジョニー・デップが、闘争運動のリーダー川本輝夫さんを真田広之が演じており、水俣市で開かれた先行上映会では多くの人で賑わったようです。


水俣病とは、新日本窒素肥料(現チッソ)水俣工場から排出された有機水銀の一種のメチル水銀化合物による大規模な中毒事故であり、一企業が起こした公害としては、被害の規模からみて世界的にも歴史に残る有機水銀中毒事件であったといえます。この水俣病の特徴は、職業病などで知られる水銀中毒とは違うものです。一般的に水銀中毒とは無機水銀によって起こされる腎臓障害などを指しますが、水俣病は有機水銀のメチル水銀による中枢神経疾患になります。

実はこの無機水銀か有機水銀かの違いにより、中毒症状であることが分かっていても当時の検査技術の精度の低さもあり、原因となったメチル水銀の特定が出来ず、実際に新日本窒素肥料の工場排水が原因と断定するまでに長い時間がかかりました。1952年に最初の患者が認められてから、公式に原因が特定され、企業の過失責任が問われたのが20年後という途轍もない年月がかかりました。そのため、その間にも工場排水は流され続け被害が広がったため、最終的に認定された患者は2200人に及びました。

水俣病は日本の四大公害病のひとつであり、すべて1950年代、60年代の高度経済成長期に起きた公害でした。当時の環境意識や規制もそれほど高くなく、企業による管理もずさんであったことが共通した点です。



もちろん四大公害病以外にも企業が関わる公害というのは数多く存在しますが、それが大企業であるほど被害が大きくなり、水俣病のように原因の特定に時間が長くかかるほど、地元住民の葛藤も強くなっていきます。つまりその企業が地元に多くの雇用を生み出しているという背景から被害者が声を上げにくい環境があり、明らかに被害があっても隠してしまったり、声を上げても他の住民と対立してしまう事があり、被害者が肉体的にも精神的にも追い詰められていく状況があり、より解決が困難になっていきます。

現代になってこれほど直接的な被害の出る公害病は出ていないという印象があると思いますが、視点を世界に広げると多くの複雑化した問題がいまだに存在します。労働環境や人権問題も含めれば現代でも苦しむ人々が多く存在しており、その原因が一企業というよりも社会全体の構造的な問題にあることが分かります。


例えば児童労働の問題を挙げると、世界で最も児童労働が多い農作物には綿・カカオ・バナナなどがあります。国は様々ですが、ほぼアフリカとアジアに集中しています。共通するのは、ほとんどが大型プランテーションでの労働に従事する子供たちです。児童労働とは、義務教育の年齢であるにも関わらず危険で有害な労働に従事させられている子供たちを指しますが、ほとんどが家族の生活を支えるために学校に行かずに働いています。農薬散布の対策もほとんどなく健康被害が多発する労働環境下で、ケガや病気になっても何の保障もなく最悪の場合は人身売買の対象にもなります。




このような状況を見ると、管理するのが企業になっただけで植民地時代から何ら変わっていないことが分かります。しかし、どれほど低賃金であってもその地域で収入を得る手段がないため、働かざるを得ないというのが実態です。
 
なぜ水俣病と児童労働の問題を一緒に取り上げたかというと、どちらも企業によって引き起こされている共通点があるからです。日本では現在大きな公害や労働環境の問題が起きていないかのように見えて、実は他所の国で同じことが起きています。現代では、特定の農産物や衣類、工業製品に至るまで多くのものが、人件費の安い発展途上国で作られています。私たちが普段安いからという理由で購入している物が、前述したような劣悪な環境で生産されている事が少なくありません。

経済の仕組みがよりグローバル化したことにより、先進国の企業は出来るだけ人件費の安い国へ生産地や工場を移します。また途上国では外国企業の誘致をした方が自国の農業や産業を守るよりも政治的に利害が一致しやすいため、問題が見えにくく構造自体が中々変えられないのです。


先進国では最終的な商品やサービスだけがクリーンなイメージで流通しています。しかし、影で多くの発展途上国の犠牲の上に立っている事を忘れてはいけないでしょう。どのような商品でもその背景が存在します。

つくる責任と同時に、消費する責任も意識することが大切ですね。
 
 
 

■参考資料
○映画「MINAMATA」公式ホームページ
○特定非営利活動法人ACEホームページ


 
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このコラムを書いた人

大類 久隆

商品部担当。とにかく何でも調べるのが大好きです。自称、社内一の加工食品オタク。食べることも忘れて日夜奮闘中……?

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