ライフジャーナル「情報の便利さと危うさ」 | ナチュラル・ハーモニー
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きほん情報

暮らしのこと

ライフジャーナル「情報の便利さと危うさ」

2017.10.18

 今回お届けするのは「情報」にまつわるお話です。食品を扱う会社なのになぜ? と思うかもしれません。私たちは特に食べ物にこだわっていますが、それだけで生きてゆくことはできません。目の前にあるひとつの食べ物も、様々な要素が複雑に絡み合い存在しています。身の回りに起きている一つひとつの事象を捉え、地に足をつけて生きてゆきたいと強く思います。

 さて、最近ではニュースなどといった情報も、テレビや新聞よりスマートフォンなどを利用してインターネットで気軽に得ている人も多いと思います。何しろ自分の興味がある分野を気軽に見られるわけですから、本当に便利ですね。
 しかし、その確かだと思っていた情報が意図的に操作され、知らないうちに誘導されていたとしたら? 今回はそんな情報の裏側の顔を描いてみます。

「ベーコンエッグとトースト」と聞くとほとんどの人は朝食をイメージしますよね。典型的なアメリカ式の朝食でしょうか。
 日本でもすっかりおなじみのスタイルではありますが、実はこの「ベーコンと卵」の組み合わせは、決してアメリカの伝統的な朝食ではありませんでした。

 アメリカでは、このスタイルが定着するまでは、もっと軽いパンとジュースのような組み合わせの朝食が主流だったようです。それがなぜ急に「ベーコンと卵」が定番のようになってしまったのでしょうか。
 実はこれには仕掛け人がいました。その人物は「広報の父」と呼ばれた「エドワード・バーネイズ」という人です。彼は1881年生まれのオーストリア系アメリカ人で、広報活動や宣伝活動、いわゆるプロパガンダのパイオニアです。

 心理学者のジークムント・フロイトの甥であり、アメリカの広告産業にフロイト派の心理学を持ち込み、大衆操作の原型を作った人物です。
 食肉加工会社からベーコンの広報依頼を受けた彼は、5000人の医者に質問状を送りました。そして「朝食にはより高栄養・高カロリーの食事が適している」という回答を4500人から得ました。
 それを「4500人の医師が推奨、朝食にはベーコンエッグを中心にすべき」という情報を全米の新聞各紙に提供したことから、ベーコンの売上が飛躍的に伸びることに繫がりました。

 従来の広告宣伝であれば、「ベーコンは体に良いから食べましょう」程度のキャッチコピーだったとこでしょう。これがベーコンエッグがアメリカで定着した真相です。
 このようにバーネイズは、心理学と社会科学を駆使した企業の宣伝や政治的プロパガンダを確立していきます。

 例えば、女性の喫煙キャンペーン・水道水へのフッ素添加事業の推進・共産主義国に対する恐怖の促進など、当時大企業と言われる会社の広告を多く手がけたり国の政策に関わる事業などに多く携わり群集心理を利用した大衆操作を数多く行なっていました。
 バーネイズは1928年の著書「プロパガンダ」で「世論操作は民主主義の必要な一部である」と述べています。

 つまり、「一般民衆は見えない支配者による巧妙で意図的な操作により適切に管理されなければならず、これが民主主義の論理的帰結である」とはっきり言っています。100年近く前にすでにこのような手法が確立していたということです。

 何やら「ベーコンエッグ」の話から怖い話になってしまいましたが、人がいかに公と言われる情報を信頼していたとしても、そこにある種の心理的操作が入ると、簡単に誘導されてしまうということです。

 

 さて、近年はインターネットの普及により、あらゆる情報が社会に溢れています。昔は必要な情報を得るだけでも時間と労力がかかるものでしたが、今では瞬時に情報が手に入ります。
 実に便利な時代になりましたが、逆により確かな情報を得るためには、いかに取捨選択するかに労力がかかるのも事実です。

 そもそも、「正しい」や「正確」という基準がない中適切な情報を選択することの難しさがあります。それが社会的、政治的な話題になるほど情報が錯綜し困難になっていきます。その情報がより客観的な視点で書かれているか、しっかりとした根拠に基づいた情報であるかなど冷静な判断が求められる訳です。

 日々、洪水のように情報が溢れる社会を生きていく中で、もう一つの大事な視点があるので、お伝えしなければなりません。
 それは、同じく大衆操作の最も高度な手法の一つですが、思想や世論を「分断する」という方法を見抜くということです。大衆の世論をある特定の目的に沿って誘導するという手法は前述の通りですが、それとはまったく逆の方法を取ることがあります。

 ある考え方に対する意見や思想に対して正反対のしかも極端な情報を流して意見を分断し、同時に思考を混乱させるという手法があります。
 かなり複雑で高度な方法ですが、国際的な規模の情報操作では良く行われることです。

 例えば、ある特定の国や団体の政治的状況や考え方を称賛するのと同時に一方では強烈な批判を行うという手法です。とても巧妙で間接的に行うため一般市民には、まさか情報の出処が同じとは思いもよらない訳です。

 これにより、世論の意見を分断して統一することを避け、また、混乱をさせておくことでどっち付かずの状況を作り出します。その結果、支配する側の都合の悪い部分を隠し、長期にわたり大衆の目を真実から遠ざけておくことができます。

 もちろんこれは、かなり規模の大きいレベルの話であって、普段の生活の中に当てはめることは無理があるかもしれません。とくにインターネット上などでは、拡散するスピードも早いため、とても情報の出処を特定することが困難です。

 しかし、日常的に接する何気ない情報の中にもこの手法が結果として垣間見えることがあります。情報を流している人自身もそれとは気づかずに加担してしまっていることがあり、この大衆操作の巧妙さがよく分かります。「思考の分断」については、全体像をイメージするのも難しいかもしれません。この手法を説明するだけでも本が何冊も書けるほどなのです。

 情報とはとても便利で有益でありながら、同時に大きな危険もはらんでいます。歴史上、一つの情報が社会を大きく揺るがすことがあります。良い悪いは別として、その情報が国中に拡散することにより、やがてひとつの政権が倒れることさえあります。

 民主主義の国なので、自由な考え方や発言が認められているのは確かですが、その考え方が本当に純粋な自身の思いに基づいたものでしょうか? 人は必ず何かしらの情報に接して影響を受けているものです。もちろんそれ自体は悪いことではありません。しかし「知らず知らずのうちに極端に偏った思考が身についていた」なんていうことが起こりえます。

 今まさに情報にまつわる話題が世間を賑わせていますが、「インターネットや出版物などの検閲」や「フェイクニュース」などの問題です。より正確な情報を得るには、その意図と目的をしっかりと見抜く力を養うことでしょう。そして、なにより一般市民がより賢くなることしかありません。

 最後に「世界最高の論客」と言われるアメリカの哲学者であり言語学者の「ノーム・チョムスキー」の言葉を紹介します。少々長いですが、まさに核心をついた的確な指摘だと思います。

『民主主義社会には二つの概念があり、前者は大衆が情報にアクセスでき

意志決定に参加し影響を及ぼすことが出来る社会のことをいい

後者は大衆を意思決定に参加させず

情報のアクセスは巧妙に管理される社会のことである。』

『国家というものは、必ず市民にウソをつき

自分たちを守ろうとする。これを克服できるのは市民の力しかない。』

 

参考資料:ウィキペディア『エドワード・バーネイズ』
     エドワード・バーネイズ著『プロパガンダ』
     ノーム・チョムスキー著『メディアコントロール』

   
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このコラムを書いた人

大類 久隆

商品部とハーモニックデザイン・ラボ担当。とにかく何でも調べるのが大好きです。自称、社内一の加工食品オタク。食べることも忘れて日夜奮闘中……?

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